日本プラスト

日本プラスト株式会社

日本プラスト株式会社（Nihon Plast Co., Ltd.）は、1948年に設立された日本の製造企業です。静岡県富士宮市に本社機能を置き、主に自動車向けの安全部品や各種樹脂製品の開発、製造、供給を行っています。

事業内容と主要製品

同社は自動車産業に不可欠な部品を供給しており、その製品ラインナップは多岐にわたります。中心となるのは、車両の操作性を担うステアリングホイールや、衝突時の乗員保護において極めて重要な役割を果たすエアバッグ関連部品などの安全に関わる製品です。長年培ってきた合成樹脂の加工技術を活かし、高品質かつ信頼性の高い製品を提供しています。主要な取引先には、日産自動車株式会社やスズキ株式会社といった国内大手自動車メーカーが名を連ねています。

国内拠点

国内には複数の製造および研究開発拠点を構えています。本社と同じ静岡県富士宮市には、主要な生産拠点である富士工場と、技術開発の中核を担うテクニカルセンター（本社・テクニカルセンター、第2テクニカルセンター）が集中しています。その他、群馬県伊勢崎市に伊勢崎工場、福岡県築上郡に九州工場を有し、全国的な生産・供給ネットワークを構築しています。

沿革

日本プラストの歴史は、戦後間もない1948年に、合成樹脂の加工および販売を事業目的として始まったことに端を発します。設立当初から日産自動車株式会社との取引関係を構築し、合成樹脂部品の納入を開始するなど、順調に事業の基盤を築き上げました。特に1950年には、日産自動車からステアリングホイールの製造を受注し、同年9月にはその納入を開始しています。これは同社が自動車部品メーカーとしての地位を確立する上で重要な一歩となりました。

事業規模の拡大に伴い、1960年には工場と本社を当時の吉原市（現在の静岡県富士市）へ移転しました。グローバルな視野を持ち、1984年にはアメリカ合衆国オハイオ州に、完全子会社としてニートンオートプロダクツマニュファクチャリングインコーポレーテッドを設立し、海外展開を開始しています。

株式市場への上場も果たしており、1990年に日本の店頭市場であるジャスダックに株式を公開しました。その後、市場制度の再編などを経て、2004年には株式会社ジャスダック証券取引所に改めて上場しています。さらに企業規模の成長を背景に、2008年には東京証券取引所の市場第二部への上場を果たし、ジャスダック市場での上場を廃止しました。そして、2017年には東京証券取引所市場第一部へと市場指定を変更するなど、継続的な企業価値向上に努めてきました。

企業連携においては、1998年に株式会社カンセイ（その後カルソニックカンセイ株式会社に社名変更）と業務提携を結んでいます。また、グループ体制の強化を図るため、1999年には静岡県富士市に関連会社であるエヌピーサービス株式会社を設立しました。

新たな顧客開拓も進め、2002年にはスズキ株式会社との取引を開始し、事業の多角化を進めました。本社機能については、2009年に富士市から現在の静岡県富士宮市へ移転しています。

特筆すべき出来事として、長期にわたり筆頭株主であった本田技研工業株式会社が保有していた全株式を、2013年に日本プラスト自身が自己株式として取得し、これにより本田技研工業との間の資本関係が解消されました。これは、同社の経営戦略における重要な転換点となりました。

現在、日本プラスト株式会社は、長年にわたる経験と技術力を活かし、自動車社会の安全性と快適性を支える重要な部品メーカーとして活動を続けています。

もう一度検索