日本プロレス中継

日本プロレス中継：日本のプロレス中継史における金字塔

1954年から1972年まで、日本テレビで放送されたプロレス中継番組『日本プロレス中継』（旧題「三菱ダイヤモンドアワー プロレスリング中継」など）は、日本のプロレス人気を支えた象徴的な存在でした。本番組は、力道山、ジャイアント馬場、アントニオ猪木といったレジェンドレスラーたちの活躍を長年にわたって視聴者に届け、日本のテレビ史に大きな足跡を残しました。

番組の始まりと発展

番組は1954年2月、日本プロレス協会の旗揚げ戦を生中継したことから始まりました。当時はテレビカメラが2台しかない時代であり、その簡素な設備で、力道山、木村政彦といったスター選手の試合を全国に放送したことは、まさに画期的な出来事でした。

当初は不定期放送でしたが、1957年6月からは週1回の定期番組『プロレス・ファイトメン・アワー』として放送を開始。その後、三菱電機をスポンサーに迎え、『三菱ダイヤモンドアワー』に内包される形で、金曜20時台のゴールデンタイムに放送枠が定着しました。この枠は、人気テレビ番組『ディズニーランド』と交互に放送されることもありました。

1950年代後半から1960年代にかけて、番組は黄金時代を迎えました。力道山とルー・テーズのNWA世界ヘビー選手権試合の中継では、視聴率87%という驚異的な数字を記録。また、力道山とザ・デストロイヤーのWWA世界選手権試合では、日本テレビ史上最高視聴率64%を記録するなど、空前のプロレスブームを巻き起こしました。

激動の時代と番組の終焉

1960年代後半に入ると、プロレス界は国際プロレスとの興行戦争（「隅田川決戦」）が勃発。番組は日本テレビとTBSテレビの対立という、テレビ局間の抗争にも巻き込まれることになります。

1968年には、『ディズニーランド』との交代制を廃止し、プロレス中継を毎週金曜20時に放送する体制を確立しました。しかし、ジャイアント馬場選手の移籍問題が勃発。日本テレビと日本プロレスの関係は悪化し、最終的に1972年5月、長きにわたるプロレス中継に幕を閉じました。

番組終了は、馬場選手とアントニオ猪木選手のどちらを支持するかという日本テレビの選択を反映した結果でした。この選択は、プロレス界における勢力図を大きく変える転換点となりました。

番組に関わった人々

番組を支えたのは、佐土一正、清水一郎、徳光和夫といった実況アナウンサー、伊集院浩、田鶴浜弘といった解説者たちでした。彼らの熱のこもった実況と解説は、視聴者の心を掴み、番組の人気を高める上で大きな役割を果たしました。

番組の遺産

『日本プロレス中継』は、単なるプロレス中継番組にとどまらず、日本のプロレス人気を支え、テレビ放送のあり方にも影響を与えた歴史的な番組でした。視聴率、スポンサー獲得、番組編成など、多くの点で成功を収め、日本のテレビ界に貢献した番組と言えるでしょう。番組終了後も、その影響はプロレス界、そしてテレビ界全体に色濃く残っています。現在でも、数々の名勝負がアーカイブ番組として放送され、その輝かしい歴史が語り継がれています。

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