日本レジストリサービス

株式会社日本レジストリサービス（JPRS）は、日本の国別コードトップレベルドメインである「.jp」のドメイン名登録・管理を専門に行う企業です。一般にはあまり知られていないかもしれませんが、インターネットの根幹を支える重要な役割を担っています。JPRSは、我々が普段利用する「.jp」で終わるウェブサイトのアドレス（JPドメイン名）の登録や管理を、2002年4月1日から一手に担っています。

JPRSの設立と事業の変遷

JPRSは、2000年12月26日に設立されました。その前身となるのは、日本ネットワークインフォメーションセンター（JPNIC）です。JPNICは、インターネットの発展初期から日本のドメイン名管理を行っていましたが、より専門的な組織が必要とされるようになり、JPRSが設立されました。2000年12月22日には、JPNICの臨時総会でJPRS設立に関する議案が可決され、そのわずか数日後にJPRSが誕生しました。

JPRSは設立当初からJPドメイン名の登録業務を開始しましたが、段階的にその業務範囲を拡大してきました。2001年には、汎用JPドメイン名の優先登録受付が開始され、その後、同時登録、先願登録へと手続きが拡充されました。そして、2002年4月1日、JPNICからJPドメイン名登録管理業務の全てがJPRSに移管され、現在に至っています。

JPRSの活動は、JPドメイン名の登録・管理にとどまりません。技術的な側面でも、インターネットの安定運用に大きく貢献しています。例えば、2005年にはWIDEプロジェクトと協力してM-Rootルートサーバの共同運用を開始しました。また、2007年にはJP DNSにIP Anycast技術を導入し、より安定したDNSサービスを提供しています。

技術革新と事業拡大

JPRSは、常に最新技術の導入に積極的です。2009年には、BIND 10の開発プロジェクトに参画し、DNS技術の発展に貢献しました。2011年には、JPドメイン名でのDNSSEC運用を開始し、ドメイン名に対するセキュリティ強化に努めています。また、gTLDレジストラサービスに参入するなど、事業の多角化も進めています。

近年では、2012年に都道府県型JPドメイン名の登録受付を開始し、地域に根差したドメイン名を提供しています。2016年には、SSLサーバー証明書サービスにも参入し、ウェブサイトのセキュリティ対策を支援しています。

JPRSの事業規模も拡大を続けており、2008年3月にはJPドメイン名の登録数が100万件に到達し、2018年2月には150万件、そして2022年6月には170万件を超えるまでに成長しました。これは、JPRSが日本のインターネットインフラにとって、いかに重要な存在であるかを示しています。

組織運営と社会的責任

JPRSは、企業としての社会的責任も強く認識しています。2019年には、旧山梨医科大学のドメイン名が不適切に利用された問題で総務省から行政指導を受けましたが、その後、ドメインレジストリ事業でISO27001認証を取得するなど、セキュリティ体制の強化に努めています。

JPRSは、東京本社のほか、2013年には大阪オフィスを開設するなど、事業拠点の拡大も進めています。これらの拠点を中心に、JPドメイン名の登録・管理、DNS技術の提供、セキュリティ対策など、多岐にわたる事業を展開しています。

JPRSは、日本のインターネットの基盤を支える企業として、その役割は非常に重要です。今後も、技術革新に取り組み、より安全で安定したインターネット環境を提供していくことが期待されます。インターネットを利用する我々にとって、JPRSの活動は、目に見えないところで、確実にその恩恵をもたらしてくれています。

関連情報

JPRSの公式サイトでは、JPドメイン名のサービス案内や、ドメイン名検索、登録、登録情報の変更などができます。また、ユーザー向けのコミュニティであるJPRSユーザー会も運営されており、JPドメイン名に関する様々な情報や交流の場が提供されています。

もう一度検索