日本・EU経済連携協定

日本・EU経済連携協定（EPA）について

日本・EU経済連携協定（EPA）は、2018年に日本と欧州連合（EU）間で締結された協定で、貿易や投資の自由化を目的としています。この協定は、政治や環境問題などの別の分野での協力を目的とする日EU戦略的パートナーシップ協定（SPA）とは異なるものであり、経済の分野に主眼を置いています。

署名までの経緯

この協定の交渉は、2011年に始まりました。2011年5月、当時の菅直人首相がEUの指導者と協力して交渉の開始に合意し、以降、ブリュッセルと東京で何度も交渉会合が開かれました。特に、2014年から2017年にかけて行われた一連の会合では、EUが牛乳製品の市場開放を強く要請するなど、激しい議論が繰り広げられました。これにより、交渉は一時難航しましたが、アメリカの保護主義的政策に対抗するため、協定締結への意欲が高まりました。

2017年7月、安倍晋三首相とEUのリーダーたちが交渉の大枠合意に至ったことを正式に発表しました。この後、2018年4月には協定署名に向けた提案が行われ、最終的に2018年7月17日に東京で協定が署名されました。署名後、日本語と英語の協定文は外務省のウェブサイトに公表されました。

国内手続

日本における手続

日本では、協定の承認指名が2018年9月に行われ、その後国会での審議を経て承認を得ました。特に、特定農林水産物等の名称の保護に関する法改正案が提出され、無事に成立しました。最終的に、協定の効力発生に必要な派手な手続きが完了し、2019年2月1日に協定が発効しました。

EUにおける手続

EU側でも、日EU経済連携協定はブリュッセルでの議会で承認が必要でした。2018年11月、欧州議会がこの協定を承認し、続いて閣僚理事会からも承認が得られました。

協定の主要内容

関税撤廃

日本の農林水産品において、関税撤廃率は94%に達し、特定の商品は除外されています。具体的には、米は関税撤廃対象外、麦や豚肉は国家貿易制度の維持がされ、牛肉は15年間かけて関税削減が行われます。鉱工業品については、関税率が100%撤廃されます。これにより、両国間の貿易が大幅に促進される見込みです。

サービス貿易・投資自由化

サービス貿易に関しても、多くの業種での入国や営業活動が緩和され、特に企業内転勤者や短期商用訪問者に対する条件が明確化されました。これにより、ビジネス環境が一層スムーズになることが期待されています。

イギリスのEU離脱と協定への影響

イギリスがEUを離脱した後、日EU経済連携協定はどうなるのかを問う声もありましたが、移行期間内はこの協定が適用されることが確認されました。2021年以降、日本とイギリスとの間は新たに日英包括的経済連携協定が適用されることとなります。

今後の展望

2022年10月、日本は日EU経済連携協定に「データの自由な流通に関する規定」を追加するための交渉を開始しました。これにより、2024年7月に改正議定書が効力を生じる計画があります。

国際的な経済圏を形成する上で、この日EU経済連携協定は、両国の経済関係の深化や貿易拡大の重要な手段と位置付けられています。

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