日本一の断絶男

映画『日本一の断絶男』の概要

『日本一の断絶男』は、1969年に公開された映画で、植木等が主演を務める「日本一シリーズ」の第7作目です。この作品は、前作『日本一の裏切り男』に引き続き、須川栄三が監督を担当し、より一層ブラック・ユーモアに富んだ内容に仕上がっています。須川監督は本作を「東宝初のヤクザ映画」と位置づけており、当時の流行を反映した新たな試みがなされています。また、「断絶」というテーマは、ピーター・ドラッカーの著名な著作『断絶の時代』からインスパイアを受けている点も特徴的です。現在もDVD化されているものの、レンタルは行われていません。

ストーリーの概略

本作は、厳しい日雇労働者の生活を送る丸山が主人公です。大阪港にある廃船で細々と生活していた彼は、母親を心配させないため、一流企業に就職したと嘘をついてしまいます。そうして幼馴染のミミ子がわざわざ丸山を訪ねてくることになり、彼は追い詰められます。困り果てているところに、正体不明の男・日本一郎が現れ、なんと工事作業員としての仕事を見つけてくれます。しかし、実は日本一郎は、丸山の日給を巻き上げて逃げる悪党でした。

物語は丸山が東京行きの新幹線で日本一郎を捕まえるところから始まりますが、彼は再び逃げてしまいます。その後、東京でなんとか捕まえた丸山は、次第に日本一郎に翻弄されていきます。日本一郎は、丸山を一流広告社に押し込み、女優として成功を収めたミミ子を利用し、自身は宣伝部長としての地位を獲得します。しかし、激しい業務に堪えきれずに逃げ出し、さらに自らの退職金を使って日本経営研究学会の設立に取りかかります。

この会の名前とは裏腹に、実際はサラリーマンたちが遊ぶための集まりとなってしまい、ついにはヤクザの目に留まります。日本一郎はそのリーダーに口八丁で取り入り、慎ましくも利益を得ようとしますが、彼の傲慢さが災いして、対立する組への襲撃を命じられることになります。

スタッフ & キャスト

この映画の製作は大森幹彦が担当し、監督の須川栄三が描くストーリーは田波靖男と佐々木守の脚本に基づいています。音楽は宮川泰が手がけており、映画全体に特有の雰囲気を与えています。主要キャストには、主人公の丸山を演じるなべおさみをはじめ、植木等、ハナ肇、谷啓など豪華な面々が揃い、個性豊かなキャラクターたちを演じています。

音楽と挿入歌

映画内では、植木等が歌う数曲の挿入歌が印象深いです。楽曲には「世界の国からこんにちは」や「静かな午后のひととき」などがありますが、植木等自身のエピソードでは、歌詞が完成していない状態での歌入れが行われたことが伝えられています。このようなエピソードも含め、本作は多くの人々に愛され続けています。

同時上映と関連項目

本作は『水戸黄門漫遊記』との同時上映も行われており、他の須川作品に見られるユーモアや個性が詰まった作品として、高い評価を得ています。このように『日本一の断絶男』は、単なるコメディ映画にとどまらず、当時の社会や文化を映し出す重要な作品の一つといえるでしょう。

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