日本中東学会

日本中東学会

日本中東学会（にほんちゅうとうがっかい、英称: Japan Association for Middle East Studies, AJAMES）は、中近東地域の研究を目的として、1985年4月6日に設立された日本の学術団体です。日本の学術会議協力学術研究団体の一つとして位置づけられています。設立時の会員数は不明ですが、2018年3月31日現在で713名の会員を有しています。現在の会長は、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授の黒木英充氏が務めています。

設立経緯と学術的特色

本学会は、1984年12月6日に発起人会が開催された後、翌1985年4月6日に東京大学教養学部で行われた第1回年次大会の総会において正式に発足しました。設立趣意書によれば、その目的は多岐にわたる分野の専門家による学際的な協議を促進することにあります。具体的には、言語、歴史、政治、経済、産業、地理、コミュニケーションといった人文・社会科学分野に加え、自然科学や技術分野の研究者をも包含し、包括的な議論を図ることを目指しています。これにより、中近東研究を地域研究として体系的に組織化し、発展させていくことに特に重点を置いています。

会員の構成と研究内容

本学会の会員は非常に幅広い学問分野を専門としています。2005年4月時点のデータでは、会員全体の3分の1以上が歴史学を専門としており、最も大きな割合を占めています。その他、地域研究や国際関係学が主要な分野ですが、医学、薬学、農学、工学といった自然科学系統の研究者も少数ながら参加しており、学際性の高さを物語っています。研究対象とする地域も、アラブ地域および中近東全域で半数近くを占める一方、ヨーロッパ、ロシア、旧ソビエト連邦といった関連地域を対象とする研究者も存在します（これも2005年4月時点の情報に基づきます）。

なお、類似する学術団体として日本イスラム協会（1963年設立）がありますが、同協会はイスラム教そのものの調査研究やイスラム諸国との文化交流を主目的としており、本学会の中近東地域に関する広範かつ学際的な研究とは性格が異なります。

主な活動と刊行物

本学会は、年次大会の開催や研究会の実施といった学術交流活動に加え、以下の刊行物を通じて研究成果の発信や情報提供を行っています。

機関誌『日本中東学会年報』（AJAMES）

本学会の機関誌である『日本中東学会年報』は、年に2回発行されています。この年報の大きな特徴は、日本語や英語だけでなく、アラビア語、ペルシア語、トルコ語など、中近東地域の多様な言語で書かれた論文が掲載されることです。これにより、国内外の研究者間の情報交換を促進しています。現在、国内外の約140カ所の研究機関に送付されており、本学会の会員であれば論文を投稿することが可能です。

ニューズレター

事務局からは、学会活動の報告や会員の業績リスト、中近東関連の様々な研究情報などを掲載したニューズレターが年に数回発行されています。ニューズレターは公式ウェブサイト上でも公開されており、最新号は2014年2月13日発行の第134号となっています（この情報は古い可能性があります）。

歴代会長

設立以来の歴代会長は以下の通りです。

梅棹忠夫 （1985年 - 1991年）
板垣雄三 （1991年 - 1997年）
佐藤次高 （1997年 - 2000年）
加藤博 （2000年 - 2003年）
小杉泰 （2003年 - 2005年）
三浦徹 （2005年 - 2007年）
私市正年 （2007年 - 2009年）
長澤榮治 （2009年 - 2011年）
臼杵陽 （2011年 - 2013年）
栗田禎子 （2013年 - 2015年）
東長靖 （2015年 - 2017年）
黒木英充 （2017年 - 2019年）

関連情報

本学会の運営に関わる事務局は聖心女子大学に設置されています。また、関連組織として中東調査会や地域研究コンソーシアムなどが挙げられます。

本学会の詳細については、日本中東学会公式サイトをご覧ください。

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