日本剣道形

日本剣道形について

概要

日本剣道形、または単に剣道形と呼ばれるこの形稽古は、剣道の重要な構成要素です。大正元年（1912年）に、大日本武徳会において制定され、以降剣道の基礎的な動作を学ぶための指針となっています。この形は礼法から始まり、目付け、構え、姿勢、呼吸、太刀筋、間合い、気位、足さばき、残心といった多くの要素を含んでおり、剣道を学ぶ者にとって欠かせない稽古メニューの一つです。

当初は剣術の流派を超えた共通の形として制定されましたが、近年では剣道形が昇段審査や公開演武の時にのみ重視される傾向が強く、普段の稽古では竹刀稽古に比べて軽視されています。このため、剣道形の普及を促進するために、最近では大会も設けられ、演武の技術を競う機会が増えています。

制定の背景

大日本武徳会剣術形

剣道形の歴史は、明治時代後期に遡ります。大日本武徳会が剣術の発展を目的として、流派を超えた共通の形を作成することを決定しました。1911年7月、文部省が剣道を中等学校の正科に加えた際、剣道教育の重要性が再認識され、教員達の意見を集約した25名からなる調査委員会が設置されました。この委員会によって、1912年に「大日本帝国剣道形」が発表され、現在の日本剣道形の基盤が築かれました。

日本剣道形の発展

1952年に全日本剣道連盟が設立されると、この形は「日本剣道形」として知られるようになり、その後、1981年には現代のかなづかいに改められた解説書が作成され、公式の教本として使用されています。このようにして、日本剣道形は長い歴史を経て現代に至っています。

形の内容

日本剣道形は、太刀の形7本と小太刀の形3本、計10本から構成されています。これらの形は、打太刀が師の位、仕太刀が弟子の位として設定され、剣道の修行者は、形における相手との関係性を学ぶことになります。例えば、打太刀が上級者、仕太刀が下級者というポジションです。

以下に、日本剣道形の具体的な内容を示します：

太刀の形 (7本)

1. 左上段対右上段 （面抜き面）
2. 正眼対正眼 （籠手抜き籠手）
3. 下段対下段 （突き返し突き）
4. 八相対脇構 （突き返し面）
5. 左上段対正眼 （面擦り上げ面）
6. 正眼対下段 （籠手擦り上げ籠手）
7. 正眼対正眼 （抜き胴）

小太刀の形 (3本)

1. 左上段対小太刀
2. 下段対小太刀
3. 正眼対下段

演武の形式

公開演武においては、剣道着や木刀の代わりに特別な衣装と模擬刀が使われます。打太刀と仕太刀は正座し、互いに礼を交わして始まります。その後、剣を抜いて形を行い、各形の後には再度礼をする形式が取られます。これにより、形の稽古を通じて礼儀や敬意を重んじる心が育まれます。

評価と参考文献

日本剣道形は、剣道の基礎を学ぶための大切な手法です。内藤高治や中山博道、好村兼一といった様々な剣道家たちからも評価されています。今日では『日本剣道形解説書』など、公式な資料として認知されており、剣道の学び手にとってその意義が継承されています。

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