日本南極探検

日本南極探検：日本初の南極探検を記録した映画

『日本南極探検』、またの名を『南極実景』は、1911年から1912年にかけて制作された日本のドキュメンタリー映画です。この作品は、日本における初の南極探検を追った貴重な記録として評価され、1912年に公開されました。この映画は、梅屋庄吉が経営するM・パテー商会の製作・配給により実現し、当時の観客に南極の未知の世界を紹介しました。

探検と映画の背景

南極探検の先鞭をつけたのは、白瀬矗という探検家です。彼は1910年に探検を開始しましたが、当初の計画は順調に進みませんでした。天候不順に悩まされ、一時シドニーに戻ることになります。この探検には、大隈重信が関与し、梅屋庄吉に依頼してドキュメンタリー映画の撮影が行われることになりました。梅屋は撮影技師田泉保直をシドニーに派遣し、「第二次南極探検」の過程を35mmフィルムで記録しました。

田泉は探検隊と共に、約4000フィートのフィルムを撮影し、さまざまな場面を映し出しました。使用した機材は、ワーウィック貿易のワーウィック撮影機であり、これにより探検の様子が生き生きと捉えられました。

映画の歴史

1912年6月28日、映画は浅草の国技館で初めて公開され、多くの人々に感動を与えました。しかし、その後白瀬はフィルムプリントを用いての講演活動を続け、作品の認知度を広めました。映画はその後複数回再編集され、1930年と1950年の二度の再編集が行われました。1930年版は「日本南極探検20周年記念会」により新たに編集され、今回の公開に合わせて多数の説明字幕が追加されました。

2007年には文化庁と東京国立近代美術館による調査の結果、1930年版のフィルムが再発見され、2015年にはデジタル修復が施されました。これにより、作品の上映が継続され、映画に込められた歴史的価値が再認識されています。

現在の所蔵と上映

現在、東京国立近代美術館と早稲田大学の両施設がこの映画の上映用プリントを所蔵しています。フィルムセンターのプリントは約20分、早稲田大学のものは約15分の内容です。これらは無声映画祭などで上映され、多くの人々に視聴されています。また、今後も新たな研究や上映の機会を通じて、『日本南極探検』の重要性が広く伝えられ続けることでしょう。

さいごに

『日本南極探検』は、単なる映画作品以上の価値を持っています。日本の南極探検の歴史を知るための重要な資料であり、探検隊の勇気と挑戦の記録です。この作品を通じて、私たちは当時の人々の使命感や夢、そして南極という未知の土地に挑む姿勢を学ぶことができます。

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