日本国有鉄道の荷物運送
日本国有鉄道の荷物運送について
日本国有鉄道において、荷物運送は旅客列車に付随して行われる輸送を指し、貨物列車による輸送と対を成していました。主に旅客運送に関連する荷物区分には、手荷物、託送手荷物、小荷物などが含まれていました。
荷物運送の種類
荷物運送は以下のように分類されていました：
これらの荷物は、旅客列車に荷物車を連結して運送され、旅客ホームで乗客と一緒に扱われることが一般的でした。時には、荷物専用列車の時刻も市販の旅客用時刻表に掲載されていました。
運送の規定と規則
荷物運送に関する規定は、運送規則に基づいて施行されていました。具体的には、貨物運送規則の第4条により、「貨物の扱い種別」が区分されていました。これは小口扱いと車扱いに基づいたものでした。
荷物運送の歴史
荷物輸送の歴史は明治時代から始まり、1872年の鉄道開業にとともに、品川と横浜間で郵便物が運搬されるようになりました。最初の手荷物運賃の設定がなされ、旅客が運ぶ物品の輸送が開始されました。1873年には、託送貨物制度が導入され、旅客以外も少量物品を運搬できるようになりました。
大正時代には、一定量までの手荷物を無料で預けることができるようになり、1919年には南満州鉄道との連絡運輸も開始されました。
戦時体制と戦後の復活
1942年の第二次世界大戦中には、荷物運送の一元化が推進され、様々な運送形態が整理されました。1944年には託送手荷物制度が廃止され、小荷物扱いに統合されました。戦後になると、再び手続きが復活したものの、終戦直後は物価の高騰に伴う度重なる値上げが行われ、国鉄の信用も低下しました。
1970年代には労働組合との関係悪化が影響し、経営に大きな課題が生じました。その結果、土地効率的な運営が求められ、1974年には「荷貨一元化」として手小荷物営業に統合され、運営が一元化されました。
荷物運送の運賃と手順
手荷物の運賃は、1946年までは一定重量まで無料でしたが、その後全て有料化されました。手荷物切符が発行され、手荷物の受付や取り扱いに関するルールが規定されました。また、特別扱荷物として新聞や雑誌が取り扱われる際には、特別な運送料金が設けられました。
荷物輸送の今日的な評価
近代的な道路網が未整備だった明治時代から戦後の一時期、鉄道による荷物輸送は非常に重要な役割を果たしました。しかし、社会環境の変化や道路の発展により、鉄道の荷物運送の重要性は次第に低下していきました。特に、宅配便の普及や郵便小包の重量制限緩和が影響したことで、鉄道小荷物輸送は急速に衰退しました。
まとめ
国鉄の荷物運送は、日本の鉄道史の中で重要な役割を果たし、時代の変化とともにその形態を変えてきました。しかし、他の輸送手段との競争が進む中で、最終的には鉄道小荷物サービスは1986年に廃止されました。このような歴史を踏まえ、鉄道物流の今後の展望も注目されます。
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