日本基督教団号

日本基督教団号（にほんキリストきょうだんごう）は、太平洋戦争のさなかにあった1943年、日本のキリスト教諸派が合同して成立した日本基督教団が、戦時体制への協力の一環として国に献納した軍用機の名称です。

この軍用機献納の動きは、1943年11月25日から26日にかけて、東京・鷺宮にある日本東部神学校で開催された日本基督教団の第2回総会（創立総会からは通算3回目）において正式に決定されました。

総会の場で、平松実馬氏より軍用機献納に関する決議案が提出されると、出席した総員が起立し、全会一致をもってこの運動を推進することが決議されました。決議後、その場ではやくも1万6千円の献金が寄せられ、運動開始への強い意欲が示されました。

同年12月下旬には、この軍用機献納運動への協力を呼びかける文書が、平松実馬氏の名義で日本基督教団に属する全ての教会および関係学校へと発出されました。この文書は、当時の運動の勢いを「燎原の火の如く」と表現し、急速な広がりと熱狂的な盛り上がりを見せている現状を伝えています。また、この運動を通じて教会が「霊的に目覚め信仰の大躍進を来たして」いると述べ、献納運動が信仰の刷新にも繋がっていると強調しました。さらに、「身命を皇国に捧げ死闘血戦、南方の海に散り行く将兵を思う時我等はいかにしてもこの事の完遂を果たさねばなりません。飛行機を、飛行機をと叫びつつ、戦死せし英霊に今こそ私共は応えなければなりません」と記されており、祖国のために戦う兵士や戦死した人々への思いに応えるためにも、軍用機献納が必須であるとの切迫した訴えが込められていました。

この運動は「飛べ日本基督教団号」というスローガンを掲げて進められ、集められた献金によって、合計四機の軍用機が国へと献納されました。内訳は以下の通りです。

日本海軍へ二機
報国3338 第一日本基督教団號
報国3339 第二日本基督教団號 九九艦爆
日本陸軍へ二機
愛国第三三三一 日本基督教団第一
愛国第三三三二 日本基督教団第二

日本基督教団の求めに応じる形で、金城女子専門学校もまたこの献納運動に参加しました。金城女子専門学校は、海軍に対し「報国2629 金城女専号」と命名された軍用機一機を献納し、さらに陸軍へは3万円の現金を献納しています。

これらの献納は、戦時下における宗教団体、特に日本基督教団が国家総動員体制に深く組み込まれ、戦争遂行に協力する姿勢を示した歴史的な一例として記録されています。

もう一度検索