日本基督教神学専門学校

日本基督教神学専門学校（にほんキリストきょうしんがくせんもんがっこう）は、第二次世界大戦末期の1944年、日本基督教団神学校財団の手によって創立された、プロテスタント諸教派にまたがる神学教育機関です。この学校こそ、現在に至る東京神学大学の直接の前身にあたります。

この学校が誕生する背景には、当時の日本のプロテスタント教会を取り巻く大きな動きがありました。1940年10月、皇紀二千六百年を記念して青山学院の校庭で開催された全国基督教信徒大会において、国内の主要なプロテスタント教会が一つに合同することが宣言されました。この動きを受け、翌1941年6月には富士見町教会にて日本基督教団が正式に発足します。これに伴い、それまで各地に点在していた多くのプロテスタント系神学校は、教育の効率化などを目的として、以下の三つの学校へと再編成されることになりました。

日本東部神学校：1943年3月、日本基督教団神学校財団により設立されました。青山学院神学部、日本バプテスト神学校、日本ルーテル神学専門学校、日本神学校、聖公会神学院、東亜神学校、日本一致神学校、東光学院という、実に多くの学校の神学部や神学校が統合されて生まれました。校舎としては、本科課程は旧日本神学校の施設を、予科課程は旧日本ルーテル神学専門学校の施設を利用しました。初代校長には旧日本神学校の村田四郎が就任し、翌年には桑田秀延が第二代校長に引き継ぎました。編入学生132名のうち、半数近い64名が旧日本神学校の出身者でした。
日本西部神学校：同じく1943年3月に設立されました。関西学院神学部、聖書学舎、日本聖化神学校が統合の母体となりました。校舎には旧関西学院神学部の施設が用いられ、旧関西学院神学部長であった松下績雄が校長を務めました。
* 日本女子神学校：こちらも1943年3月に設立されました。青山学院神学部女子部、共立女子神学校、東京聖経女学院、聖和女子学院が統合されました。校舎としては旧日本バプテスト神学校の施設を使用しました。旧青山学院神学部長の渡辺善太が校長に就任しました。この学校は翌年に日本基督教女子神学専門学校と改称し、戦後の1948年3月にその歴史を閉じました。

1943年に設立されたこれら三校のうち、男子学生を受け入れていた日本東部神学校と日本西部神学校が、さらなる統合を経て日本基督教神学専門学校として再編されたのは1944年のことです。この統合は、太平洋戦争の激化に伴う学徒出陣によって学生数が大幅に減少したことが大きな理由でした。日本基督教団にとって、三つの神学校を同時に維持・運営することが困難になっていたのです。新しい学校の校長には、日本東部神学校の第二代校長であった桑田秀延が就任しました。校舎は旧東部神学校の施設を利用し、戦時下の状況を反映して兵役などに関わる学生のため、予科や専修科といった課程は廃止されました。

1945年の東京大空襲では、幸いにも富士見町と鷺宮にあった校舎は直接の被害を免れました。しかし、戦後の混乱期である翌1946年1月には、富士見町の校舎を東京キリスト教青年会（YMCA）に貸し出す必要が生じました。このため、1946年度からは全ての授業が鷺宮の校舎で行われることになりました。

第二次世界大戦が終結し、日本が新たな時代を迎える中で、教育制度も大きく変わりました。戦後の学制改革に伴い、日本基督教神学専門学校は新制大学である東京神学大学へと移行することになります。しかし、この過程で、当初統合に参加した神学校のうち8校は、教派単位での日本基督教団からの分離や、戦災からの復興に伴う独自の学校再建などを理由に、東京神学大学とは異なる道を歩むことになりました。東京神学大学が開学したのは1949年ですが、旧制度に基づく日本基督教神学専門学校は、在籍していた学生全員が卒業するまで存続が認められ、1955年3月にその役割を終えました。このように、日本基督教神学専門学校は、戦時下の特殊な状況下で多くのプロテスタント神学校が合同して生まれた後、戦後の学制改革を経て現在の東京神学大学へと繋がる、日本のキリスト教高等教育史において重要な位置を占める学校でした。

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