渡辺善太

渡辺善太について

渡辺善太（1885年12月2日 - 1978年7月26日）は、日本における伝道者、聖書学者、神学者、説教家として、特に20世紀初頭から中頃にかけて広く知られる存在でした。静岡県賀茂群南伊豆町に生まれ、伝統的な旧家「都殿」の出身です。彼は自身の学問のスタイルを、前期と後期に分け、前半では「歴史的・批評的研究」を基にして、後半では「正典的・神学的研究」に焦点をあてました。特に、聖書全巻に対する統一的な解釈を通じて、独自の聖書論を築き上げた点が注目されています。

生涯の初期

渡辺は学生時代、東京で生活を送っており、比較的自堕落な日々を送っていました。しかし、1904年に友人の勧めで中央福音伝道館の伝道会に参加し、そこで中田重治の説教を聴いたことがきっかけで回心。ディサイプルス派の宣教師から洗礼を受けました。当初は救世軍に所属し、士官（牧師）を目指していましたが、神学者となる道を選び、1907年には明治学院神学部に入学したものの、信仰の問題から中退することになります。

ホーリネス教会での活動

その後、東洋宣教会の伝道者として活動を開始し、中田重治の指導のもとで聖教団事件に関与しました。彼は不満を示したものの、和解を優先する中田に疑問を抱き、伝道活動のためにトラクト配布を行いました。また、彼は日本ホーリネス教会の野辺地天馬の妹と結婚していますが、聖協団事件により失望し、教会から身を引くことを決断します。この時期にデスペンセーション神学に触れ、聖書解釈に関する新たな視点を得ることとなります。

留学と教育

1912年に渡辺はアメリカへの留学を決意し、自費でナザレン大学や太平洋神学校で学びました。帰国後は聖学院神学校や同志社大学で教鞭を執り、1923年からは再びドイツに留学。ベルリン大学などで学び、幅広い知識を獲得しました。

メソジスト教会での教授活動

1928年には日本メソジスト教会の教職に就き、青山学院神学部では教授として教鞭を取ります。また、日本基督教団設立の際には重要な役割を果たし、特にホーリネス分裂事件において和協委員として和解に尽力しました。彼の努力は実を結び、1936年には法的に和協分離が成立しました。

銀座教会時代と業績

1941年からは日本メソジスト教会銀座教会の牧師を務め、その後名誉牧師としての地位も得ます。1942年のホーリネス弾圧事件では公判に出廷した経歴もあります。長年の神学研究が評価され、東京[[神学大学]]から名誉神学博士の学位を授与され、さらに1964年にはキリスト教における功労者として認められました。1966年には聖書学における新たな分野の開拓により、勲三等旭日中綬章を受賞しました。

晩年と著書

渡辺は1978年、92歳で生涯を閉じました。その後、彼の著書には『近代的に観たる旧約書の文学』シリーズや『聖書正典論』などがあり、聖書研究における基盤を築きました。確立した聖書論と教育の業績は、今でも日本の神学と聖書学に多大な影響を与えています。彼の葬儀は名誉牧師を務めた銀座教会で行われ、青山霊園に埋葬されました。

渡辺善太は、生涯を通じて日本のキリスト教界に多大な貢献をし、今もなおその業績が評価されています。

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