日本学生氷上競技選手権大会

大会の概要

日本学生氷上競技選手権大会（にほんがくせいひょうじょうせんしゅけんたいかい）は、日本学生氷上競技連盟が主催する、日本の大学対抗によるスケート競技の全国大会です。この大会は、スピードスケート、フィギュアスケート、そしてアイスホッケーという、氷上で行われる主要な3種目を実施し、各大学はその総合的な実力を競い合って大学別の総合優勝を目指します。大学生アスリートにとって、自身の競技レベルを試す重要な舞台であり、各校の名誉をかけた戦いが繰り広げられます。

大会の歴史

本大会の起源は古く、1925年（大正14年）に長野県松本市の六助池で「全日本学生氷上競技選手権大会」として初めて開催されました。これは、日本の学生氷上競技における記念すべき第一歩と言えます。しかし、その後の歴史においては、いくつかの困難に直面しました。例えば、第3回大会（1927年）は、大正天皇の崩御に伴い中止されました。また、第二次世界大戦中は大会の継続が困難となり、1943年には「全国学生氷上競技会」として長野県蓼の海で開催されたものの、1944年から1946年にかけては戦争の影響で中止を余儀なくされました。終戦後の1946年（昭和22年）には、第19回大会として無事再開を果たし、大会は再び歩みを進めました。近代においては、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、2021年に開催が予定されていた第93回大会が中止となる事態も発生しましたが、スピードスケートのショートトラック競技については代替大会が実施されました。大会形式の面では、第5回大会（1929年）から各部門の成績に基づいた大学別総合順位が算出され、総合優勝校が正式に表彰されるようになりました。

女子選手の参加と発展

本大会における女子選手の参加は、段階的に進められてきました。フィギュアスケート部門では、第22回大会（1950年）で初めて女子シングル競技が実施され、これにより女子選手がインカレに参加する道が開かれました。フィギュアスケートにおける女子の大学別順位付けは、第26回大会（1954年）から開始されました。スピードスケート部門では、第25回大会（1953年）に女子選手の参加が見られましたが、大学別の順位が付けられるようになったのはさらに後の第40回大会（1968年）からです。そして、全競技を通じた女子の大学別総合順位が正式に算出されるようになったのは、第54回大会（1982年）からでした。アイスホッケー部門においては、比較的新しく、第90回記念大会（2018年）から女子部門が新設されましたが、これはオープン競技としての位置づけであり、大学別総合順位の計算対象外とされています。

歴代の輝かしい記録

これまでに開催された数々の大会（2025年までの累計で97回）において、最も多く総合優勝を達成しているのは、男子では明治大学で61回を数えます。女子においては、日本体育大学が最多の13回総合優勝を果たしています。また、全競技部門で優勝を果たす「完全優勝」という偉業は、明治大学が過去2回、すなわち第25回大会と第78回大会で達成しています。これらの記録は、各大学が長年にわたり氷上競技に力を注いできた証しであり、大会の歴史に深く刻まれています。

各競技部門の詳細

本大会を構成する主要な競技部門のうち、フィギュアスケートは特に長い歴史を持っています。

フィギュアスケート

この部門は、1925年の第1回大会から実施されており、全日本フィギュアスケート選手権よりも長い歴史を有しています。競技会場は持ち回りで開催されます。フィギュアスケート部門における大学別順位は、各選手の個人順位を基にした点数計算によって決定されます。

フィギュアスケート部門の運営方法も時代の変化と共に進化してきました。第22回大会（1950年）からは女子シングルが導入され、女子選手の参加が可能になりました。2008年の第80回大会からは、国際スケート連盟（ISU）のジャッジングシステムが採用され、競技の採点方法が国際基準に準じたものとなりました。この変更に伴い、シングル競技のクラス分けも再編され、それまでの2段階（1部、2部）から、Aクラス（7～8級）、Bクラス（5~6級）、Cクラス（3～4級）という3段階に変更されました。また、本戦への出場権をかけた予選会として、東日本学生フィギュアスケート選手権大会および西日本学生フィギュアスケート選手権大会が開催されるようになりました。その後もクラス分けは何度か変更されており、例えば第90回大会（2018年）からは女子シングルがより細分化された5クラス（7,8級、6級、5級、4級、3級）となり、第91回大会（2019年）からは男子シングルも同様に段級位に基づいた表記に変更されました。現在の参加資格は、男女シングルはバッジテスト3級以上、アイスダンスはパートナーのどちらかがブロンズ以上の級位を保有していることが求められており、選手の技術レベルに応じたクラスで競技が行われています。

スピードスケートやアイスホッケーといった他の部門も、大学対抗の総合優勝を争う上で欠かせない重要な競技ですが、詳細な変遷や競技形式については、フィギュアスケートほど多くの情報が一般に公開されていません。しかし、これらの競技も本大会の歴史と伝統を彩る上で不可欠な要素となっています。

結び

日本学生氷上競技選手権大会は、その長い歴史の中で、多くの学生アスリートたちの情熱と努力を受け止め、日本の氷上競技の発展に貢献してきました。大学間の熱い競争を通じて、選手たちは技術だけでなく、チームワークや精神力も磨き上げています。今後も、日本の大学スポーツにおける氷上競技の最高峰として、その伝統は受け継がれていくことでしょう。

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