日本巖窟王

日本巖窟王

『日本巖窟王』（にほんがんくつおう）は、1979年1月10日から6月27日までNHKで放送されたテレビドラマで、アレクサンドル・デュマ・ペールの小説『モンテ・クリスト伯』を日本の江戸時代、具体的には寛永年間を舞台にした作品です。全ての映像は現存しており、2014年にはDVDボックスも発売されています。

あらすじ

物語は、旗本である葵月之介の祝言を迎えるところから始まります。彼は許婚の深雪との幸せな生活を手に入れたかに見えましたが、彼の人生は突如として変わることになります。宴席で突然告げられた島原の乱の勃発。月之介はキリシタン撲滅のために出陣しますが、かねてから深雪に恋をしていた従兄弟の神谷十太夫と、彼に嫉妬する者たちの策略に陥り、「キリシタン側に内通した」との濡れ衣を着せられてしまいます。月之介は無実であるにも関わらず、南海の孤島、岩屋島への流刑を命じられます。

10年間の厳しい獄中生活の中、月之介は立ち寄った牢獄で出会った老獄吏、甚兵衛から「天主の宝」に関する秘密を託されます。月之介は甚兵衛の死体とすり替わる大胆な脱獄計画を実行し、岩屋島から逃げ出すことに成功します。この逃亡後、琉球の王族真美姫の協力を得て、彼は膨大な財宝を手に入れます。

再び江戸に戻った月之介は、父が切腹し葵家が断絶したこと、そして十太夫が深雪と結婚し自らの権力を笠に着ている現実を知ります。彼を陥れた者たちも繁栄を極めていることに怒りを募らせ、月之介は復讐の機会をうかがうことになります。彼は恨みを胸に秘めたまま、琉球の副使節「月心王」、ある流浪者、そして白頭巾を被った剣士「巌窟王」と変身を遂げながら、十太夫たちに復讐の鉄槌を下していく決意を固めます。

ロケ地・武術

物語の南海のシーンは、沖永良部島や屋久島でのロケーションが行われました。さらに、月之介は琉球にてトンファーやサイ、ヌンチャクといった武術を修得する設定が取り入れられています。これにより、物語はただの復讐劇にとどまらず、武士道や武術が交じり合った複雑な世界観を描き出しています。

キャスト

このドラマには中村俊一、陶隆、鶴田忍、松崎真、冷泉公裕、吉岡ひとみなどの多様なキャストが出演しており、深い物語を支えています。

スタッフ

原作はアレクサンドル・デュマ・ペールが務め、脚本は小野田勇が担当しました。音楽は坂田晃一が手がけ、新室内楽協会による演奏が作品の雰囲気を盛り上げました。演出は岸田利彦、高野喜世志、松本美彦、田中賢二、池村憲章の各氏が担当し、視覚的にも楽しめるドラマが展開されました。

サブタイトル

このドラマには「花婿出陣」や「地獄への罠」、「孤剣闇を斬る」など多くのサブタイトルが付けられており、それぞれが物語の重要な転機を示しています。

『日本巖窟王』は、ただの復讐譚ではなく、愛と裏切り、希望と絶望が交錯する人間ドラマとして、多くの視聴者に深く響く作品となりました。

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