日本庭園 (万博記念公園)

万博記念公園 日本庭園

大阪府吹田市にある万博記念公園内に広がる日本庭園は、1970年に開催された日本万国博覧会（大阪万博）において、日本政府の出展として造営されました。この庭園は、面積約26ヘクタールという広大な敷地を持つ池泉回遊式庭園であり、「日本万国博覧会記念公園日本庭園」として国の登録記念物にも登録されています。

造園にあたっては、田治六郎氏が設計および施工指導を担当しました。この庭園の最大の特徴は、上代、中世、近世、そして現代という、日本の各時代の代表的な庭園様式を一堂に集めている点です。これにより、訪れる人々はそれぞれの時代の庭園の趣や技法を比較しながら鑑賞することができ、まさに「庭園博物館」としての役割も果たしています。

万博閉会後も、この庭園は当時の姿をほぼそのままに保ち、現在に至るまで多くの人々に親しまれています。

四つの時代の庭園構成

園内は大きく四つのエリアに分かれており、それぞれ異なる時代の庭園美を表現しています。

上代庭園（西端区）

平安時代の庭園様式を再現しており、海岸線を模した洲浜（すはま）などが配されています。モミやイヌキといった常緑樹や新緑樹が密生して植えられ、深山のような静かで落ち着いた景観が創出されています。庭園全体の水源となる泉が設けられ、迎賓館も配置されていました。

中世庭園（山谷区）

鎌倉時代から室町時代にかけての庭園をイメージしたエリアです。築山を背景にした池泉庭園が中心で、標高約50メートルの緩やかな丘にはクロマツが疎林をなし、ツツジ類が密植されて関西地方独特の景観が生み出されています。北側には渓流が設けられ、モミジや竹が多用されています。滝もあり、渓流と相まって石庭を思わせるような趣深い景観が広がります。このエリアには、枯山水、池泉回遊式庭園、そして茶室「汎庵」「万里庵」を擁する茶庭が含まれています。

近世庭園（山麓区）

江戸時代初期の様式を取り入れた庭園です。お祭り広場に近接しており、休憩所を備えた中央門が設けられています。中心には約12,000平方メートルもの広さを誇る心字池（しんじいけ）がゆったりと広がり、その背景には標高約60メートルの芝山が築かれています。広々とした開放感と、人工的ながら自然美を感じさせる構成が特徴です。

現代庭園（東端区）

日本の庭園が持つ伝統を踏まえつつも、新たな創作や未来への試みを表現したエリアです。すり鉢を二分したような独特の地形を持ち、底部には錦鯉や金魚が泳ぐ観魚池（かんぎょち）や、蓮池、菖蒲田などが設けられ、水生・水辺植物が豊かに配置されています。山腹には休憩所があり、そこからは北摂連山を遠くまで望むことができます。周辺にはクヌギの疎林や、段々畑状に花壇が配され、伝統と現代が調和した景観が楽しめます。

規模と利用案内

万博記念公園の日本庭園は、総面積が260,000平方メートル（26ヘクタール）に及び、そのうち芝生面積は約47,600平方メートルを占めます。

開園時間: 午前9時30分から午後5時まで（入園は午後4時30分まで）
休園日: 毎週水曜日（水曜日が祝日の場合は翌日の木曜日が休み）
所在地: 万博記念公園内
交通アクセス:
大阪モノレール 万博記念公園駅または公園東口駅より徒歩。
阪急山田駅、またはJR茨木駅・阪急茨木市駅から近鉄バスを利用し万博記念公園方面へ。

各時代の庭園美が集結したこの特別な空間で、日本の伝統的な造園技術と文化に触れる貴重な体験をすることができます。

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