日本惑星協会

日本惑星協会（TPSJ）

日本惑星協会（にほんわくせいきょうかい、英語名：The Planetary Society of Japan、略称：TPSJ）は、1999年に発足した日本の市民組織です。その主な目的は、太陽系を中心とした宇宙開発に関する社会的な理解を深め、その重要性を啓蒙することにあります。この団体は、一度活動を休止した期間がありますが、後に再びその歩みを進めました。

沿革

協会の歴史は、世界の宇宙開発の潮流に呼応する形で始まりました。米国に存在する惑星協会の活動理念に賛同し、1999年9月に特定非営利活動法人として設立されました。創設以来、太陽系探査をはじめとする宇宙開発の魅力を広く伝えるための啓蒙活動に積極的に取り組んできました。

特筆すべき活動としては、日本の小惑星探査機「はやぶさ」のミッションに関連して実施された「星の王子さまに会いに行きませんか」キャンペーンが挙げられます。この企画は、探査機のターゲットマーカーに希望者の名前を搭載するというもので、結果として約88万人という多数の応募者を集め、宇宙への関心の高まりを示す象徴的な出来事となりました。

しかし、組織運営に関わる関係者の高齢化などが要因となり、2011年7月20日をもって協会の活動は一度幕を閉じました。解散時の会員数は約350名、メールマガジンの読者は約1万人に達しており、その活動が一定の広がりを持っていたことがうかがえます。解散時の理事長は、宇宙科学の分野で名誉ある地位にあった水谷仁氏が務めていました。また、富士フイルムビジネスイノベーション（旧：富士ゼロックス）や博報堂、三菱電機など、様々な分野の企業が賛助会員として活動を支えていました。

約4年間の休止期間を経て、日本惑星協会は再び活動を開始することを決定しました。2015年7月、その再開が発表され、同月21日に正式に活動再開を宣言しました。再始動にあたっては、組織体制が一新されました。かつて理事長を務めた水谷仁氏が会長に就任し、推進事務局の事務長には井本昭氏が着任しました。さらに、外部からの知見や提言を取り入れることを目的として、「アドバイザリーカウンシル」が新たに設けられ、より幅広い視点からの活動運営を目指す体制が構築されました。

活動目的

日本惑星協会は、主に以下の目標を掲げて活動を展開しています。

宇宙開発に関する社会教育の推進と普及に貢献すること。
宇宙規模の視点から地球環境の保全について考え、その実現に向けた活動を推進すること。
宇宙空間の平和利用に関する国際協力を促進すること。
太陽系探査の重要性を訴え、国内外の宇宙機関への働きかけを行うこと。
* これらの活動に取り組む個人や団体に対し、連絡、助言、または援助を提供すること。

これらの目的を通じて、協会は宇宙科学や探査への理解を深め、人類の未来に貢献することを目指しています。

組織構成（活動再開後）

活動再開後の日本惑星協会は、会長を頂点とし、理事会が運営の中核を担っています。具体的な事業推進は推進事務局が行い、事務長と財務担当が実務を担います。また、全体の方針を決定するTPSJ全体会議が設けられています。特定のテーマに沿ったチームや室が設置されており、運用企画、惑星科学・探査推進、対外協力、ITメディア事業といった多岐にわたる活動を推進しています。

特に重要な役割を果たすのがアドバイザリーカウンシルです。これは協会外部の有識者から構成され、協会の活動全般に対して客観的な意見や助言、提言を行う役割を担っています。これにより、協会は常に新しい視点を取り入れ、活動内容を充実させています。また、将来的には米国惑星協会との連携を視野に入れたChapter of TPSの設置など、国内外の関連組織との連携強化も図られています。

このように、日本惑星協会は設立、一時休止、そして再開という道のりを経て、太陽系を中心とした宇宙の探査と啓蒙活動を精力的に行っている市民団体です。

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