日本文学協会

日本文学協会：戦後日本の文学研究を牽引する団体

日本文学協会は、1946年、第二次世界大戦終戦後の混乱期に設立された学術研究団体です。略称は日文協。敗戦という経験を踏まえ、日本文学研究と国語教育のあり方を見つめ直し、科学的で客観的な研究方法の確立を目指して発足しました。

設立当初は、従来の国文学研究が国家主義的な歴史観と結びつきやすかったことへの批判的な立場から、一部では「左翼系の学会」と呼ばれることもありました。しかし、特定の政治勢力への支持はなく、1950年代の国民文学論争を経る中で、政治的色彩は薄れていきました。現在では、多様な学問的立場を包含する、学術研究団体として活動を続けています。

協会設立の目的は、大きく分けて3点に集約できます。第一に、それまで十分に注目されてこなかった、あるいは埋もれていた日本文学作品の発掘と再評価です。第二に、既にある研究成果を批判的に吟味し、新たな視点を取り入れることで、より精緻で客観的な理解を深めることです。そして第三に、これらの取り組みを通じて、日本文学研究と国語教育の更なる発展に貢献することです。

日本文学協会は、学術[[雑誌]]『日本文学』を機関誌として刊行しています。年1回の発行が多い他の学術誌とは異なり、月刊誌である点が大きな特徴です。研究者にとって論文発表の重要な場として機能しており、会員の研究成果を広く発信する役割を担っています。また、会員は保守・革新といったイデオロギーにとらわれず、自由な学問探究の姿勢を尊重されています。そのため、多様な視点からの研究発表がなされ、人文科学分野における閉塞状況を打破するための積極的な提言も数多く見られます。

活動としては、毎年11月頃には、その年度における統一テーマに基づいた学術大会を開催しています。また、7月頃には会員による日頃の研究成果発表の場として、時代や分野別に企画された研究発表大会が開催されます。これらの活動を通じて、会員相互の交流を促進し、活発な議論の場を提供しています。

かつては岩波書店発行の雑誌『文学』との関わりが深かったものの、現在は独立して活動しています。『日本文学』誌の発行や研究大会の開催を通じて、戦後日本の文学研究に多大な貢献を果たし続けている日本文学協会は、今後も日本の文学研究をリードする存在として、その役割を担っていくことでしょう。

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