日本発条

日本発条株式会社 (NHK SPRING CO.,LTD.)

概要

日本発条株式会社（ニッパツ）は、神奈川県横浜市に本社を置く、独立系の自動車部品メーカーです。その主要製品は、自動車用ばね（スプリング）やシートであり、これらは同社の事業の中核を担っています。

近年では、自動車業界の電動化に対応し、モーターコアや駆動制御用金属ベース基板など、電動車向けの部品の売上も拡大しています。また、ハードディスクドライブ（HDD）の磁気ヘッド保持ばねにおいては、世界シェアの約50％を占めるなど、ニッチな市場においても高い競争力を持っています。さらに、独自の接合技術を生かし、半導体製造のエッチングや成膜工程で使用される製品の市場も急速に拡大しています。

同社は「NHK」の商標名を使用していますが、これは日本放送協会よりも早く、1939年に使用を開始しています。日本放送協会がNHKの名称使用を開始する際には、日本発条に許諾を求めたという経緯があります。現在でも、両社がそれぞれの分野で「NHK」の名称を使用しています。1989年に制定されたCIロゴにも「NHK」が用いられています。

過去には、テレビ神奈川の自動車情報番組のスポンサーを務めていましたが、2014年に一旦撤退。その後、2023年10月より、再び同局の番組スポンサーとして復帰しています。

また、横浜事業所の最寄り駅である金沢シーサイドラインの市大医学部駅は、2010年に同社がネーミングライツを取得し、「ニッパツ前」という副名称が付けられています。

イメージキャラクターとしては、鉄人28号を採用しており、これは「ニッパツ＝28」という語呂合わせによるものです。

沿革

同社の歴史は、1936年に日商（現・双日）の出資により設立された株式会社芝浦スプリング製作所に始まります。1939年に現在の社名に変更し、この年を設立年としています。

1954年には東京証券取引所に上場。その後、1958年には川崎市の中小メーカーであった大同発条株式会社を合併し、事業を拡大しました。

1960年には、自動車内装品専門メーカー「高島屋日発工業株式会社（TNK）」を設立。高島屋百貨店、高島屋工作所、トヨタ[[自動車]]との共同出資によるものでした。

1960年代以降、海外展開を加速させ、アメリカのロックウェル社との技術提携、資本提携を経て、台湾、ブラジル、スペインなど、世界各地に合弁会社を設立しました。

1980年代後半からは、アメリカ、スペインでの合弁会社設立に加え、横浜事業所の新設、本拠地の移転など、国内事業の強化も進めました。

1990年代には、マレーシア、タイ、香港、中国など、アジア地域への展開を本格化させました。2000年代以降も、中国、アメリカ、欧州、インドネシアなど、グローバルネットワークをさらに拡大しています。

スポーツとの関わり

日本発条は、スポーツ振興にも積極的に取り組んでいます。2008年より、三ツ沢公園球技場の命名権を取得し、「ニッパツ三ツ沢球技場」としています。この球技場は、サッカーJリーグの横浜FCやY.S.C.C横浜、横浜F・マリノスの準本拠地として、また、ラグビーチーム横浜キヤノンイーグルスの本拠地としても使用されています。

さらに、2016年からはなでしこリーグ2部の横浜FCシーガルズとスポンサー契約を結び、チーム名称を「ニッパツ横浜FCシーガルズ」としています。

ニッパツアスリート

日本発条は、トップアスリートを社員として雇用し、競技活動を支援する「ニッパツアスリート」制度を設けています。これは、挑戦する若い力を応援するとともに、グループ企業の連帯感を高めることを目的としています。

2024年4月現在、陸上競技の宮坂楓、平加有梨奈、竜田夏苗、仲野春花、サッカーの平國瑞希、吉田優菜がニッパツアスリートとして活躍しています。

主な事業所

日本発条は、国内外に多数の事業所を有しています。

国内:
本社・横浜工場（神奈川県横浜市）
厚木工場（神奈川県愛甲郡愛川町）
伊勢原工場（神奈川県伊勢原市）
群馬工場（群馬県太田市）
太田工場（群馬県太田市）
伊那工場（長野県上伊那郡宮田村）
宮田工場（長野県上伊那郡宮田村）
駒ヶ根工場（長野県駒ヶ根市）
豊田工場（愛知県豊田市）
滋賀工場（滋賀県甲賀市）
野洲工場（滋賀県野洲市）

海外:
北米: NHKインターナショナル社、ニューメーサーメタルス社など
中南米: NHKスプリングメキシコ社、ラッシーニ-NHKアウトペサス社
アジア: NHKスプリングタイランド社、NHKプレシジョンタイランド社など
中国・香港: 日発投資有限公司、広州日正弾簧有限公司など
欧州: NHKスプリングヨーロッパ社、NHKスプリングハンガリー社など

関連企業

日本発条は、多くの関連企業を有しています。主な企業として、日発販売株式会社、株式会社ニッパツサービス、株式会社トープラなどが挙げられます。これらの関連企業と連携し、事業の多角化を進めています。

このように、日本発条株式会社は、自動車部品メーカーとしてだけでなく、スポーツ振興や地域貢献にも積極的に取り組む、多角的な企業です。

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