日本精神科病院協会

公益社団法人日本精神科病院協会

公益社団法人日本精神科病院協会（略称：日精協）は、日本の精神科医療分野において重要な役割を担う公益法人です。東京都港区に本部を置き、全国の精神科病院を主な会員としています。精神医療の発展、精神科病院の運営に関する課題への対応、および関連する医療政策への提言などを活動の柱としています。

沿革

当協会のルーツは、1949年に「日本精神病院協会」として設立されたことに遡ります。創立時の初代理事長は植松七九郎氏でした。その後、組織体制を強化するため、1954年には社団法人としての登記を完了しました。長年にわたり活動を続け、2001年（平成13年）には、社会情勢や精神科医療のあり方の変化を踏まえ、現在の「日本精神科病院協会」へと名称を改めました。設立当初は厚生労働省社会・援護局の障害保健福祉部が所管する特例民法法人であり、精神障害保健課が主な担当課でした。しかし、2012年4月には公益認定基準を満たし、公益社団法人へと移行しました。

組織と関連団体

日精協は、政策提言活動を推進するために、「日本精神科病院協会政治連盟」という政治団体を有しています。また、日本の医療提供体制に関わる他の主要な病院団体との連携も重視しています。具体的には、日本病院会、日本医療法人協会、全日本病院協会と共に構成する「四病院団体協議会（通称：四病協）」の一員として活動しており、広範な医療課題に対して共通の立場から意見を表明しています。さらに、「日本病院団体協議会（通称：日病協）」にも加盟しており、他の医療系団体との協力関係を築いています。

主な活動

協会の活動は多岐にわたりますが、注目された事例としては、特定のメディア表現に対する対応があります。過去には、RENEGADE KIDが開発し、インターチャネル・ホロンが販売したニンテンドーDS用ゲーム「DEMENTIUM 閉鎖病棟」の内容について、精神科医療に対する偏見を助長する可能性があるとして懸念を表明しました。この件に関して、協会はゲームの公式ウェブサイトの閉鎖および販売の差し止めを求める抗議文を販売元に送付しています。

不祥事に関する経緯

2018年5月、当協会の機関紙「協会雑誌」に掲載された文章が社会的な批判を浴びました。問題となったのは、群馬県高崎市にある病院での朝礼における医師の発言を引用した記事です。その医師は「米国では警備員が拘束や発砲といった手段を取る」といった事例に触れつつ、「精神科医に拳銃を持たせるべき」と主張していました。さらに、この記事には、当時協会の会長であり、当該病院の理事も務めていた山崎學氏が「興味深い内容である」と添え書きした一文が含まれていました。この掲載に対し、精神科医療における身体拘束の問題などに取り組む「精神科医療の身体拘束を考える会」をはじめとする患者団体や支援者から強い抗議が寄せられました。同年6月21日には、これらの団体が抗議集会を開催し、協会に対して質問書を提出するとともに、公開の場で意見交換を行うよう求めました。抗議者側からは、問題の文章について「責任ある言動とは到底思えない」「患者を危険な存在として決めつけている」といった厳しい批判が上がりました。協会側の釈明として、機関紙の編集責任者は、記事の趣旨は「何らかの対処方法を検討したいという意図であり、決して患者さんへの暴力を正当化するものではない」と述べました。また、「不快に感じた方がいたのであれば、今後は引用する際にも十分に注意を払う」と付け加えました。山崎会長も同様の見解であるとされました。この問題を受け、協会は機関紙をホームページから削除しましたが、事務局は削除の理由について、批判とは無関係な「レイアウト変更のため」と説明しました。この一連の騒動は、精神科医療における安全管理と患者さんの尊厳、そして協会が果たすべき責任ある役割について、改めて社会に問いかける契機となりました。

関連項目

斎藤茂太（過去の名誉会長）
厚生労働省
日本精神神経学会
精神保健指定医
精神科病院
精神医学
日本総合病院精神医学会
日本精神神経科診療所協会

外部リンク

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