日本統治時代の朝鮮の行政区画

日本統治時代の[[朝鮮]]における行政区画

本稿では、日本統治時代の[[朝鮮]]における行政区画と、地方行政制度・地方自治制度について解説します。当時の朝鮮半島は、13の道によって区分され、その下に府・郡・島、さらに邑・面、そして洞・里という階層構造が形成されていました。

沿革

1910年（明治43年）、「朝鮮総督府地方官官制」により、朝鮮総督府による朝鮮の地方行政が規定されました。この制度は、1896年8月からの大韓帝国の十三道制を基盤としています。

1914年（大正3年）には、郡・面の大規模な統廃合が行われ、317郡4351面が12府218郡2517面となりました。1930年（昭和5年）には邑が新設され、1944年（昭和19年）6月時点では、13道、21府218郡2島、122邑2202面が存在しました。その後、1944年（昭和19年）12月に興南府が設置されたため、1945年（昭和20年）8月の日本の敗戦時には、13道、22府218郡2島という構成でした。

日本統治時代に整備された行政区画は、現在の大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の行政区画の基礎となっています。

道

道は、朝鮮における一級行政区画であり、大韓帝国の十三道制を継承したものです。朝鮮全土は、日本統治時代を通じて13の道で区分されました。

1910年の地方官官制により、道の長は観察使から道長官に改称されました。1919年には官制改正により、道長官は道知事となり、憲兵警察制度が廃止され、道知事が警察権を行使することになりました。

1930年に道制が公布され、1933年に施行されたことで、地方公共団体としての道が新設されました。道議会が設置され、一定の地方自治機能が導入されました。道議会の議員は、3分の2が制限選挙によって選出され、3分の1が道知事によって任命されました。

府・郡・島

府

府は、日本内地の「市」に相当する行政区画で、長は府尹でした。当初は、京城府をはじめ、旧理事庁所在地など、日本人が多く居住する重要な都市が府に指定されました。

1914年（大正3年）に府制が施行されたことで、地方公共団体としての府が設立されました。府は、併合以前の日本人居留民団の事務などを承継しました。都市化の進展に伴い、府制が施行される都市が増え、最終的には22まで増加しました。

府制導入時（1914年）の12府

京城府
仁川府
群山府
釜山府
大邱府
木浦府
馬山府
平壌府
鎮南浦府
元山府
清津府
咸興府

後に府制が施行された都市

新義州府
開城府
羅南府
城津府
海州府
定州府
晋州府
全州府
光州府
興南府

郡

郡の長は郡守でした。1914年（大正3年）3月1日には大規模な統廃合が行われ、317郡が218郡となりました。その後、若干の増減はあったものの、1945年（昭和20年）8月時点での郡の数は218でした。

島

島は、1915年（大正4年）に設置された行政機関で、長は島司でした。島司は警察署長を兼任し、「島令」を発する権限を有していました。島制の施行により、済州郡と鬱陵郡が廃止され、済州島と鬱陵島の2つの島が設置されました。

邑・面

面は、日本内地の「村」に相当する行政機関であり、長は面長でした。1917年（大正6年）に面制が施行され、地方公共団体として位置づけられました。1930年（昭和5年）には、邑面制となり、1931年（昭和6年）に施行されました。

邑は、日本内地の「町」に相当する行政機関であり、長は邑長でした。邑面制の施行により、1931年（昭和6年）4月に新設されました。この時、41の面が邑となりました。

1930年（昭和5年）の邑面制施行に際して、邑面には一定の地方自治機能が付与されました。邑には意思機関として邑会が、面には諮問機関として面協議会が設置され、制限選挙によって議員が選出されました。

参考文献

朝鮮總督府『施政三十年史』(朝鮮總督府、1940年)
戦前期官僚制研究会編『戦前期日本官僚制の制度・組織・人事』（東京大学出版会、1981年）

関連項目

朝鮮の歴史的地方区分
大韓民国の地方行政区画
朝鮮民主主義人民共和国の地方行政区画
日本統治時代の台湾行政区分

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