日本美術専門学校

日本美術専門学校：100年を超える歴史に幕

1917年、東京に設立された日本美術専門学校は、2018年3月に閉校しました。101年に及ぶ歴史に幕を閉じ、日本の美術教育史に大きな足跡を残した学校です。本記事では、その歴史、学科、著名な卒業生、そして閉校に至る経緯について詳しく解説します。

創設から閉校まで：激動の時代を生き抜いた美術学校

日本美術専門学校の起源は、1916年に設立された「日本美術研究所」に遡ります。その後、「日本美術学校」と改称し、東京・練馬区に移転、戦時中の閉鎖を経て、戦後には財団法人向南学園により再開校を果たします。1988年には向南学園による運営が終了しますが、美術教室として存続しました。

1994年、学校法人佐藤栄学園に移管され、埼玉県大宮市で再出発。名称も「専門学校 日本美術学校」となり、新たな歴史を歩み始めます。その後、「日本美術専門学校」と改称し、2003年には埼玉県伊奈町に移転しました。しかし、時代の変化や学生数の減少など様々な要因が重なり、2016年には閉校が決定、2018年に閉校しました。

多様な学科と著名な卒業生

日本美術専門学校は、洋画科、日本画科、彫刻科、デザイン科の4つの学科を設置。多様な美術分野をカバーした教育を提供していました。

その卒業生は、美術界に多大な影響を与えた著名な作家や芸術家が多く含まれています。洋画家の林武氏、佐々木宗一郎氏、宮崎精一氏、イラストレーター・絵本作家の山口マサル氏、彫刻家の圓鍔勝三氏（文化勲章受章）、さらに漫画家の田河水泡氏、矢尾板賢吉氏など、数多くの才能がここで育まれました。作家・井伏鱒二氏も同校中退生として名を連ねています。これらの卒業生は、日本の美術・文化の発展に貢献しました。

他にも、画家の中原淳一氏、造園家の重森三玲氏、画家・瑛九氏、評論家の柳亮氏、芸術院会員である服部正一郎氏、織田廣喜氏、鶴岡義雄氏、そしてアニメーション監督の持永只仁氏など、各分野で活躍した卒業生がいます。俳優の嵯峨善兵氏も在籍していました。

閉校の背景と今後の課題

日本美術専門学校の閉校は、日本の美術教育界に大きな衝撃を与えました。少子化、美術教育を取り巻く環境の変化、そして私立学校経営の厳しさなど、様々な要因が背景にあります。

閉校によって失われた教育機会の回復、そして伝統ある美術学校の精神や技術の継承は、今後の大きな課題と言えるでしょう。

アクセスとその他

学校は埼玉新都市交通伊奈線丸山駅から徒歩1分の場所にありました。

日本美術専門学校は、長い歴史の中で日本の美術界に貢献してきました。その歴史と伝統は、多くの卒業生や関係者たちの記憶の中に、そして日本の美術史の中に永遠に刻み込まれることでしょう。閉校は一つの時代の終わりですが、同時に、新たな美術教育の在り方について考える契機にもなると言えるでしょう。

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