圓鍔勝三

圓鍔勝三の生涯と業績

圓鍔勝三（えんつば かつぞう）は、1905年11月30日に広島県御調郡河内町（現・尾道市御調町）で生まれ、2003年10月31日にその生涯を閉じました。彼は彫刻家として広く認知され、文化功労者や文化勲章を受章した著名な芸術家です。本名は勝二であり、生涯を通じて様々な賞を受賞してきました。

教育と初期のキャリア

圓鍔は1921年に河内尋常高等小学校を卒業すると、彫刻家を目指して京都に渡り、石割秀光の弟子として木彫を学びました。1926年には京都市立商工専修学校の彫刻科に入学し、また同年に関西美術院にも所属して近代的な造形を学びました。1930年には日本美術学校に入学し、在学中に帝展に初出品します。彼はその後も数回の入選を果たし、名前を広めていきます。

戦前から戦後の活動

彼の代表作には、母が娘に紅を差す姿を描いた『初夏』があります。この作品は1932年に第3回文展で特選を受賞しました。その後も彼は多くの展覧会に参加し、1946年には第2回日展で木彫『砂浜』により特選を受賞し、1947年には多摩美術学校に助教授として就任。彼はこの時期に多くの名作を生み出し、次第に名声を高めていきます。

志と晩年

1940年代から50年代にかけて、圓鍔は多摩美術短期大学と同大学で教授として活動しつつ、彫刻作品の制作に注力しました。1950年の第6回日展では『土器を持つ女』で再び特選を受賞し、次々と受賞歴を重ねました。1960年代に入ると、彼は名前を勝三に改名し、日展評議員や日本美術家連盟の委員を歴任します。

圓鍔は、1971年に日展常務理事に就任し、1976年には勲三等瑞宝章を受章するなど、彫刻界における重要な役割を果たしました。1980年からは日本彫刻会の理事長を務め、文化功労者に指定されるなど、その功績は広く認識されています。

作品と哲学

圓鍔の作品は、初期には木彫が中心でしたが、戦後はブロンズや陶磁器、樹脂など多様な素材を用い、写実に基づく具象彫刻の新たな表現を模索しました。彼の作風は、ロマンティックな主題を描いた『幻想』や『星羅』、また『夢　夢　夢』などが特徴で、人体の簡略化された形態を通じて深い思索を感じさせます。

没後の評価と遺産

圓鍔は1993年には伊勢神宮に『神馬』を奉納し、その芸術的な遺産を次世代に残しました。また、圓鍔勝三彫刻美術館や圓鍔記念公園の設立は彼の影響を今もなお感じさせるものです。生涯にわたり創作活動を続けた圓鍔の姿勢は、多くの後進に影響を与えています。彼は2003年にこの世を去りましたが、その業績と作品は今も多くの人々に親しまれています。

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