日本聾話学校

日本聾話学校は、東京都町田市野津田町に位置する私立の特別支援学校です。現存する中では日本最古の私立聾学校として知られています。学校法人日本聾話学校によって運営され、キリスト教学校教育同盟に加盟しています。

特色

日本聾話学校は、1920年（大正9年）に創立されました。その創立の背景には、米国長老派教会の宣教師であるオーガスト・K・ライシャワー博士の長女、フェリシアが幼くして聴力を失った出来事があります。ライシャワー博士夫妻は、当時東京聾唖学校（現在の筑波大学附属聴覚特別支援学校）の校長であった小西信八に娘の教育について相談しました。小西校長は、当時の日本の聾学校で主流であった手話ではなく、口話法による教育を勧めたのです。そして、日本にも口話法の聾学校を作ることを依頼しました。この助言と依頼を受け、ヘレン・O・ライシャワー夫人はフェリシアを連れてアメリカに帰国し、シカゴの州立師範学校付属小学校の聾口話部に入学させました。ヘレン夫人自身も同校で口話法を学びました。

その後、ライシャワー博士夫妻は、聾教育の経験を持つ女性宣教師ロイス・F・クレーマーと共に、1920年（大正9年）4月に牛込福音教会で日本初の口話法聾学校を開校しました。開校当初の日本人教員は2人でしたが、そのうちの1人である幼稚部主任教諭の畑足子は、1922年（大正11年）から2年間、アメリカのクラーク聾学校に留学し、その教育法を日本聾話学校に伝えました。こうして、アメリカから導入された口話法は、西川吉之助や橋村徳市らの活動とともに、戦前の日本の聾教育に大きな影響を与えたのです。

第二次世界大戦後、大嶋功校長のリーダーシップの下、日本聾話学校は補聴器の活用と早期教育に積極的に取り組みました。町田市に移転した現在も、キリスト教精神に基づき、教育オージオロジーによる補聴環境の整備を徹底し、聴覚を活用した「対話」による教育を実践しています。また、人工内耳を装用した子どもの教育にも力を入れており、その教育の場としても注目されています。

さらに、乳幼児部として、0歳からの聴覚障害を持つ未就学児とその保護者を対象とした難聴幼児通園施設「ライシャワ・クレーマ学園」を併設しており、育児相談やサポートを提供しています。

沿革

1920年 - 東京牛込福音教会会堂で開校。
1923年 - 東京府から聾唖学校として認可。
1926年 - 荏原郡松沢村に校舎を新築移転。
1929年 - 中等部を新設。
1933年 - 盲学校及び聾学校令に基づき、聾唖学校として認可。
1944年 - 財団法人日本聾話学校の設立が認可。
1948年 - 聾教育、盲教育が義務制となり、東京都と教育委託契約を締結。
1951年 - 学校法人へ組織変更が認可。
1953年 - 幼稚部校舎を新築。
1968年 - 町田市へ移転。
1977年 - 難聴幼児通園施設「ライシャワ・クレーマ学園」を開設。

参考文献

日本聾話学校校史編集委員会編 『日本聾話学校七十年史』 キリスト新聞社、1990年
依田直也・依田和子 『愛は決して滅びない － アメリカ人女性ロイス・クレーマーをめぐる人びと －』 教文館、2005年
ライシャワー博士伝刊行会編 『準縄は楽しき地に落ちたり － エー・ケー・ライシャワー博士伝』 教文館、1961年

関連項目

東京都特別支援学校一覧
キリスト教学校教育同盟
エドウィン・O・ライシャワー

外部リンク

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