日本航空モーゼスレイク墜落事故

日本航空モーゼスレイク墜落事故

1969年6月24日、日本航空90便（コンベア CV880-22M-3）がアメリカのグラント郡国際空港で訓練飛行中に墜落するという悲劇的な事故が発生しました。この事故では、乗員5名のうち3名が失命し、多くの教訓が航空界に残されました。

事故機の概要

墜落した事故機、コンベア CV880-22M-3（登録番号JA8028）は1963年に製造され、日本航空が同年12月に購入しました。この機体は、4基のゼネラル・エレクトリック CJ805-3Bエンジンを搭載し、総飛行時間は14,278時間でした。事故の約2週間前に羽田空港からグラント郡国際空港へ回送され、その後、訓練飛行に利用されていました。

事故当日の飛行時、機体の離陸重量は162,450ポンドであり、重心も許容範囲内に収まっていました。これは、高度な航空運用の基準を満たしていたことを示しています。

乗員のプロフィール

事故機には機長、航空機関士、訓練生3名の計5名が搭乗していました。機長は37歳で、総飛行時間は7,639時間。その経験値からも、機長としての資質が高く評価されていました。彼は、CV-880とダグラス DC-8の操縦資格を持ち、600時間の教官経験があるプロフェッショナルです。

航空機関士は31歳で2,948時間の飛行経験があり、訓練生たちは自衛隊出身のパイロットで、実務経験を重ねていました。しかし、訓練生の一人（訓練生A）は、機長との中間確認で「平均またはそれ以下」の評価を受けており、その技能に疑問が持たれていました。

事故の経緯

事故当日、午前15時01分に事故機はこの日2回目の訓練飛行を完了し、駐機場に着陸しました。燃料計や姿勢指示器に表示不良があったものの、離陸前には大きな問題は確認されていませんでした。

午後3時37分には、管制官から気象情報を受け、離陸の許可が下りたのち、訓練生Aが主要な操作を担当しました。離陸してしばらくの間は順調でしたが、地面から50フィート上昇した際に、機体が右へ急激に傾き始めました。

その結果、機体は墜落し、衝撃と火災により4人が脱出できたものの、訓練生2名は命を落としました。生き残った機長と航空機関士は、重傷を負いながらも救助されました。

事故調査と結論

事故の調査は国家運輸安全委員会（NTSB）が行い、その結果として、訓練生の判断力不足と対処の遅れが原因であると結論付けられました。特に、エンジン1基を停止した状態での操作が、訓練生にとってリスクとなり、適切な補正行動が取られなかったことが大きな要因でした。

安全勧告

この事故を受けて、NTSBは安全勧告を発行し、訓練生と教官がエンジン停止時の機体の挙動を理解し、適切な対策を講じるように促しました。これにより、今後の航空訓練における安全性向上が期待されています。

本事故は、航空業界に大きな影響を与え、教育と訓練の重要性を再認識させる出来事となりました。

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