日本貿易振興協会

日本貿易振興協会の歴史と役割

日本貿易振興協会（にほんぼうえきしんこうきょうかい）は、1941年に設立された民間貿易における重要な機関であり、1947年に日本貿易会に統合されるまでの短い間、貿易の促進に貢献しました。この機関の設立背景やその活動の内容は、日本の貿易の発展において重要な位置を占めていました。

設立の背景

日本貿易振興協会は、旧日本政府のもとでの貿易調査機関としての必要性から生まれました。1940年に解散した日本貿易調査委員会の後を受けて、1941年9月に「民間貿易の中枢機関」として設立され、主要都市に支部を持つことで貿易の拡大を図ったのです。設立は驚くほど迅速で、商工大臣の認可は1カ月もかからずに下り、本部は東京市麹町区の工業倶楽部ビルに置かれました。

初代会長には郷誠之助氏、副会長には南郷三郎氏と児玉謙次氏が就任しました。また、各省庁からの次官が顧問として名を連ね、特に逓信省から26名という多くの官僚が役職に就くなど政府とのつながりが強かったことが特徴です。理事はすべて官僚から構成され、事務局には33名が在籍していました。

活動内容と組織

協会の下部組織には、各国の貿易政策や経済状況を調査する日本貿易研究所や、戦時及び戦後の貿易対策を考えるための時局貿易対策調査委員会がありました。特に大東亜共栄圏の貿易対策を扱う委員会も設けられていました。

機関誌としては『資料』と『報告』があり、貿易研究所からは『調査彙報』や『日本貿易研究所叢書』も発行され、貿易や経済関連の情報提供に努めていました。特に、これらの出版物は当時の貿易状況を反映し、日本の貿易政策に影響を与えるものとなりました。

統合と解散

第二次世界大戦終結後の1947年、連合国軍による占領下において日本貿易振興協会は解散を迎えます。同年の6月25日には、明治時代に設立された日本貿易振興会や日本貿易協会などとともに、日本貿易会に統合されました。日本貿易会は1942年に設立され、その後経済団体連合会の傘下に入るなど、日本の貿易の新たな時代を迎えることになります。

日本貿易振興協会は短命ながらも、日本の民間貿易において重要な役割を果たし、経済団体連合会への統合によってその役割は引き継がれることとなりました。これらの歴史は、戦争を経た日本の貿易の再編成を象徴するものとして位置付けられています。

参考文献と資料

このような歴史を知るための資料として、商工行政社による『全国経済団体総覧』や日本貿易振興協会が発行した各種報告書などが存在します。それらは当時の国内外での貿易活動を理解する上で貴重な情報源となります。

もう一度検索