日本高速フェリー

日本高速フェリー会社の歴史と運航

概要

日本高速フェリー（にっぽんこうそくフェリー）は1970年に設立された日本の海運会社で、長距離フェリーの運航を主な業務としていました。会社は、南九州から本州への長距離フェリーの需要に応えるため、照国郵船の傘下として誕生しました。「さんふらわあ」シリーズという豪華なフェリーを運航し、多くの乗客に利用されましたが、経営環境の厳しさから1990年に営業を停止しました。

設立の背景

1969年、照国郵船の経営陣は、国際水準の豪華フェリーの設計を川崎重工業に依頼し、これが成立のきっかけとなりました。1970年、資本金3億円で日本高速フェリーが設立され、当初は東京都中央区に本社を置いていました。

主な航路と船舶

日本高速フェリーが運航していた代表的な航路は、名古屋から高知・鹿児島を結ぶもので、1972年に「さんふらわあ」号で運航がスタートしました。この航路は、後に東京から那智勝浦・高知に向かうルートや、大阪から志布志・鹿児島に向かうルートへも拡張され、複数の船舶が投入されました。

「さんふらわあ」とその姉妹船は、すべて川崎重工業または来島どっくで建造され、いずれも優れた機能性を持つ艦艇でした。例えば、第一号の「さんふらわあ」は、11,312総トンで最大速力は25.5ノットを誇り、旅客定員が1,124名に及び、貨物だけでなく多くの乗客を運ぶ能力を有していました。

経営困難と営業譲渡

しかし、1973年からの海運不況や過大な投資による経済的な負担が日本高速フェリーを襲いました。1975年、親会社である照国海運が倒産し、その結果として日本高速フェリーも経営難に陥りました。5年間の運営で累積赤字は95億円に達し、日本沿海フェリーに営業権が譲渡されることとなりました。1990年に航路の営業を完全に終了し、会社は清算されました。

登場作品

「さんふらわあ」シリーズは、その豪華な外観と運航ルートにより、映画やテレビドラマにも登場しました。特に1973年の映画「仮面ライダーV3対デストロン怪人」や、1974年の「ゴジラ対メカゴジラ」などでは、東京-那智勝浦-高知航路が舞台として使用されました。特に1976年には「秘密戦隊ゴレンジャー」のエピソードに登場し、親しまれていました。

結論

日本高速フェリーは日本の海運業界で重要な役割を果たし、多くの旅客に喜ばれた存在でしたが、厳しい経営環境により、短い運営期間の後に歴史の幕を閉じました。その影響は今もなお業界の記憶に残っています。

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