日本IT団体連盟

一般社団法人 日本IT団体連盟

一般社団法人日本IT団体連盟は、「IT連盟」の略称で知られ、英語では「Information Technology Federation of Japan」と称される、日本の情報技術（IT）関連業界を代表する多様な団体によって構成される連合組織です。2016年に正式に発足し、発足当初から50を超える業界団体が参加し、それらの団体に加盟する企業数は約5000社、全体で約400万人もの従業員を擁する、国内のIT関連団体としては最大規模の連合体として位置づけられています。ただし、すべての主要IT団体が参加しているわけではなく、中には連携を見送った団体も存在します。

設立の背景と経緯

IT連盟の設立構想は、2015年10月9日に開催された「CEATEC JAPAN 2015」のパネルディスカッションの場で初めて公に発表されました。この構想は、コンピュータソフトウェア協会（CSAJ）の会長を務めていた荻原紀男氏（株式会社豆蔵ホールディングス社長）からの呼びかけに応じる形で、全国地域情報産業団体連合会（ANIA）の長谷川亘会長（京都情報大学院大学理事長）、全国ソフトウェア協同組合連合会（JASPA）の中島洋会長（株式会社MM総研所長）、日本情報技術取引所（JIET）の酒井雅美理事長（バリューソフトウエア株式会社社長）といった、主要IT団体のリーダーたちによって提唱されました。この4団体が中心となり、業界全体の連携強化を目指す機運が高まりました。

そして、構想発表からおよそ9ヶ月後の2016年7月22日、一般社団法人日本IT団体連盟が正式に設立されました。初代の代表理事および会長には、当時ヤフー株式会社の社長を務め、同時にYahoo!基金の理事長でもあった宮坂学氏が就任しました。事務局は、設立当初、ヤフー株式会社の本社ビル内に設置され、活動を開始しました。

主な活動内容

IT連盟は、参加する多数の団体を代表する立場から、日本のIT産業が直面する様々な課題に対応し、その発展を推進するための幅広い活動を展開しています。主要な活動目標として掲げられているのは以下の点です。

• - サイバーセキュリティ体制の構築: 産学官が一体となって、高度化するサイバー攻撃に対する防御体制を強化するための取り組みを進めます。
• - 政策提言: 参加する多様な団体の意見を集約し、IT業界全体の視点から政府や関係機関に対し、IT関連政策に関する提言や要望活動を行います。
• - IT人材の育成: 将来にわたって日本のIT産業を支える優秀な人材を育成するための教育プログラムの開発や推進、キャリアパスの整備などに貢献します。
• - 学校教育におけるIT教育の推進: 初等・中等教育段階から、ITに関する知識やスキルを習得できるような教育カリキュラムの導入や充実に向けた活動を行います。
• - 海外市場への働きかけと海外動向の共有: 日本のITサービスや製品の海外展開を支援するとともに、世界の最新IT動向や市場情報を国内企業に共有し、国際競争力の強化を目指します。
• - イベント連携: 各参加団体が個別に実施してきた開発イベントやプログラミングコンテストなどについて、団体間で情報共有を行い、将来的には共同での実施も視野に入れています。

沿革

IT連盟の主な沿革は以下の通りです。

• - 2015年10月9日: 「CEATEC JAPAN 2015」にてIT関連団体連合体の設立構想を発表。
• - 2016年7月22日: 一般社団法人日本IT団体連盟が正式に発足。
• - 2017年4月1日: iOSコンソーシアムが入会。
• - 2017年8月3日: Rubyビジネス推進協議会が入会。
• - 2018年3月31日: iOSコンソーシアムが退会。

参加団体

IT連盟には、様々な分野のIT関連団体が数多く参加しています。主な参加団体としては、コンピュータソフトウェア協会（CSAJ）、全国ソフトウェア協同組合連合会（JASPA）、全国地域情報産業団体連合会（ANIA）、インターネット協会（IAJ）、日本インターネットプロバイダー協会（JAIPA）、コンピュータエンターテインメント協会（CESA）、日本ネットワークセキュリティ協会（JNSA）などが挙げられます。これらの団体は、ソフトウェア開発、システムインテグレーション、情報セキュリティ、インターネットサービス、ゲーム産業、地域IT産業など、IT分野の幅広い領域を網羅しており、IT連盟はまさに日本のIT産業の多様性を反映した組織と言えます。

設立当初、既存の経済団体である新経済連盟（ヤフーが過去に参加していた団体）との関係性について、協調するのか、あるいは対立するのかといった明確な方針は示されていませんでした。IT連盟が、従来の枠を超えて日本のIT産業界を束ね、その競争力強化と社会課題解決にどのように貢献していくかが注目されています。

もう一度検索