日産フォークリフト

日産フォークリフト株式会社

日産フォークリフト株式会社は、日本の自動車メーカーである日産自動車の産業機械事業部門を母体とし、フォークリフトをはじめとする産業車両の製造および販売を行っていた企業です。その歩みは、日産自動車の一部門としての創業期から始まり、独立を経て、TCMとの事業統合によるユニキャリア株式会社への移行、そして最終的にはニチユ三菱フォークリフトとの経営統合による三菱ロジスネクスト株式会社グループへの参画へと繋がっていきます。会社としての歴史は終えましたが、その事業と技術は現在の産業車両メーカーへと受け継がれています。

沿革

日産自動車におけるフォークリフト事業の歴史は古く、1957年に神奈川県に位置する戸塚工場で生産が開始されたのが始まりです。初期には新日国工業（現在の日産車体）への設計・生産委託も行われましたが、事業の拡大に伴い、1975年には村山工場での内製生産体制を確立し、開発、生産、販売の各機能が日産自動車内で一元化されました。この体制のもと、フォークリフト事業は日産自動車の重要な部門として成長を遂げます。

国内市場向けの販売体制を強化するため、1976年には専売会社名として「日産フォークリフト」という名称が決定されました。翌1977年には村山工場での本格的な生産が軌道に乗り、事業規模はさらに拡大しました。1982年には日産自動車内に産業機械事業部が正式に発足し、フォークリフト事業の組織的な基盤が強化されました。

国内での展開と並行して、海外市場への進出も積極的に行われました。1965年には早くもアメリカへの輸出を開始し、その後、現地での生産体制の構築にも着手します。1988年にはアメリカのバレット産業車両会社への資本参加を通じて現地生産を開始。翌1989年にはスペインの日産モトール・イベリカ会社でもフォークリフトの現地生産を開始しました。1990年代には、海外での販売網も整備され、1993年にはアメリカに製造と販売を統合した「北米日産フォークリフト会社」を設立。スペインや欧州においても、それぞれ日産フォークリフトを冠する販売会社が発足し、グローバルな事業展開が進められました。

独立と統合の時代

2000年には、同業他社である三菱重工業との間でフォークリフト関連事業に関する業務提携の基本合意がなされるなど、業界内での連携も模索されました。生産体制においては、2001年に日産自動車村山工場が車両生産工場としての役割を終えたため、高田工業戸塚工場への生産委託へと切り替えが行われています。

そして、長年にわたり日産自動車の一部門として運営されてきたフォークリフト事業は、2010年10月1日に独立し、「日産フォークリフト株式会社」として新たな法人となりました。これにより、より専門的かつ機動的な事業運営が可能となりました。

しかし、産業車両業界の再編の波は日産フォークリフトにも及びます。2011年11月29日、日立建機の子会社であったTCMとの事業統合を目的とした新たな持ち株会社「ユニキャリア」の傘下に入ることが発表されました。2012年8月1日にはユニキャリアの完全子会社となり、これに伴い本社所在地を横浜市から東京都品川区へ移転しました。そして、2013年4月1日、日産フォークリフトはTCMと正式に合併し、「ユニキャリア株式会社」へと商号を変更しました。この合併により、高田工業への生産委託は解消されました。

ユニキャリアとなった後も業界再編は続き、2017年にはニチユ三菱フォークリフト（後の三菱ロジスネクスト株式会社）との経営統合が行われました。この統合により、フォークリフトの製造機能はニチユ三菱フォークリフト側に集約されることとなります。ユニキャリア株式会社は、商号を「ロジスネクストユニキャリア株式会社」に変更し、三菱ロジスネクスト製品の販売を担う会社として位置づけられました。かつて「日産フォークリフト」として市場に供給されていた製品群は、この一連の再編を経て、三菱ロジスネクストグループの一員としてその役割を続けることとなったのです。

主な製品群

日産フォークリフトが市場に投入した製品には、幅広いラインアップが存在しました。代表的なシリーズとしては、アグレスシリーズがあり、エンジン車の前期モデル（L01, L02）や後期モデル（1F1, 1F2, 1F4）、バッテリーカウンタータイプ（1B1, 1B2）などが展開されました。その他にも、J系（J01, J02）、P系（P01, P02）、H系（H01, H02）、F系（F01, F03など）、U系（U01, U02）、C系（C01, C02）といった多岐にわたるモデルがありました。中には、住友ナコマテリアルハンドリングからのOEM供給を受けたモデル（1R1）や、「一寸法師」というユニークな愛称で知られるモデルも存在しました。

日産フォークリフト株式会社は、自動車メーカーの一部門から独立した法人、そして大規模な業界再編の中での主要プレイヤーとして、日本の産業車両史にその名を刻みました。その技術と事業は、統合された新たな企業群へと確かに引き継がれています。

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