日産・アベニール

アベニール（AVENIR）

アベニールは、日産車体が製造し、日産自動車が販売していたステーションワゴン型の自動車です。1990年代に登場し、長年にわたり多くの人々に愛されました。特に、初代モデルは多目的に使用できる車両として注目を集め、さまざまな業務利用からファミリーカーまで幅広い層に支持されました。

初代 W10型（1990年 - 1998年）

1989年の東京モーターショーで初披露されたアベニールは、1990年5月に本格的に市場に登場しました。CMコピーは「スポーツカーの次に来るもの」として注目を集め、スカイラインバンとブルーバードワゴンを統合したモデルでした。

アベニールは、乗用モデルと商用モデルであるアベニールカーゴの2つのバリエーションがありました。各モデルは、最大積載量やエンジンの違いによって構成されていました。ワゴンは「ei」、「bi:」、「si:」というグレード名で販売される一方で、カーゴモデルは最大500kgの積載が可能でした。エンジンはSR20DEとSR18Diが搭載され、商用モデルではGA16DSやCD20ディーゼルエンジンが選ばれていました。

1990年10月には4WDモデルも追加され、特にワゴンモデルではフルタイム4WDが提供されました。この年の発売以降、数々の特別仕様車も市場に投入されました。1991年には、オーテックジャパンが「リゾートエクスプレス」を発売し、さらに1992年にはエクセーヌシートを使用した特別仕様モデルも登場しました。

1995年には外観を大幅に改良し、すっきりとしたデザインに変更されました。このマイナーチェンジの結果、アベニールはさらに人気を集め、多くのCMにも登場しました。しかし、1998年7月には生産が終了し、在庫車のみの販売となりました。

2代目 W11型（1998年 - 2005年）

1998年、アベニールは新しいW11型にモデルチェンジしました。この新モデルでは「THE JAPAN TOURER」というキャッチコピーが使われ、再びアベニールの名称が採用されました。新モデルはGT4シリーズとサリューシリーズに分かれ、リアルな走行性能が確保されました。

搭載エンジンは、SR20DET型ターボやディーゼルエンジンなど多様で、ユーザーのニーズに応えられる仕様が揃っていました。2000年には、様々な機能を持つ「ブラスター（BLASTAR）」という特化したモデルも登場。これにより、アベニールの魅力がさらに広がりました。

充実したインテリアや快適な乗り心地も維持されつつ、使い勝手の良い車両として家庭でも業務でも広く支持される存在となりました。2005年には、在庫対応分のみの販売が続き、同年11月に販売が終了しました。このアベニールの後継車はウイングロードとされています。

車名の由来

「アベニール」という名称は、フランス語で「将来」を意味する「avenir」に由来しています。また、車名には未来への期待が込められており、それが多くのユーザーに親しまれる理由の一つとなったのかもしれません。特に二代目モデルの「ブラスター」という名称は、英語の「Blast」と「Star」を元にした造語であり、個性的な存在感を醸し出しました。

アベニールは時代の変化を反映しつつ、長い歴史の中で進化を続けました。これは単なる乗用車ではなく、心に残る思い出を積み重ねるための大切な存在でした。

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