日産・エルグランド

エルグランド（ELGRAND）

日産自動車のエルグランドは、日本のミニバン市場において高級車の先駆けとされ、1997年5月に初代モデルが発売されました。その後、トヨタのアルファードなどのライバル車種を生み出すきっかけとなり、エルグランドは日本国内外で広く認知されています。

概要

エルグランドは、広々とした室内空間と優れた操縦性能が特徴で、高級ミニバンというカテゴリーの確立に寄与しました。初代と2代目については日産車体湘南工場が、3代目は日産車体九州が生産を担っており、E51型とE52型は香港でも販売されています。また、E52型からはデザインを一新し、北米向けに拡大したクエストを姉妹車として展開しています。

初代 E50型（1997年 - 2002年）

初代エルグランドは、当初ローレル販売会社や日産プリンス沖縄向けにキャラバンエルグランド、ホーミーエルグランドとして発売されました。キャラバンエルグランドには赤いエンブレムが、ホーミーエルグランドには青いものが使われていました。この型式はR50型系テラノとプラットフォームを共有しており、ユニークな6穴139.7 mmのP.C.D.を採用。商品の魅力としては、圧倒的に広い室内空間と未体験のハンドリング性能、パワフルなV6エンジンが挙げられ、高額なモデルにも関わらず、月販1万5千台のヒットを記録しました。

グレード構成には、7人乗りの「X」、8人乗りの「V」、最廉価仕様の「J」があり、オプションには様々な選択肢がありました。特に「X」には革シートやオートスライドドアが設定されており、快適性を追求した設計がなされていました。また、前後席のウォークスルーが可能な「スーパーマルチシート」を採用したことで、利便性も高められています。

年表

• - 1997年5月19日: キャラバンエルグランドおよびホーミーエルグランドとして発売。
• - 1998年1月: スポーティグレード「ハイウェイスター」登場。
• - 1999年8月: マイナーチェンジ、全車名を「エルグランド」に変更。
• - 2000年4月3日: 特別仕様車「プライムエディション」発表。
• - 2002年4月: 初代生産終了、2代目にバトンタッチ。

2代目 E51型（2002年 - 2010年）

2代目エルグランドは新たに専用プラットフォームを採用し、駆動方式は後輪駆動（FR）となっています。サスペンションはマルチリンク式に改良されており、より積極的な走行性能を実現。両側スライドドアを基本装備として、よりファミリー向けの仕様となりました。エンジンはVQ35DE型が搭載され、環境性能が向上したことで『超-低排出ガス車』に認定されています。

また、グレード体系が整理され、V、VG、ハイウェイスター、X、XLの5グレードになりました。このモデルからエルグランドのエンブレムは廃止され、日産のブランドロゴが使用されています。

年表

• - 2002年5月21日: フルモデルチェンジ。
• - 2003年8月29日: 国内登録累計20万台記念特別仕様車登場。
• - 2004年8月25日: マイナーチェンジによりグレードが整理される。
• - 2010年8月: 二代目生産終了。

3代目 E52型（2010年 - 現在）

3代目エルグランドはFFと4WDが選べるようになり、低床化に成功したことから室内空間が広がり快適性が向上しました。デザインは2005年の東京モーターショーで出品されたコンセプトカーにインスパイアされています。装備面では、キャプテンシートや11インチリヤモニターが標準装備され、安全面でも数々の機能が盛り込まれました。環境性能でも高評価を得ており、幅広いニーズに応えるモデルとして確立されています。

年表

• - 2010年5月13日: フルモデルチェンジ前のティーザー発表。
• - 2010年8月18日: 正式に販売開始。
• - 2011年10月: 新たに2列仕様を追加。
• - 2020年10月: マイナーチェンジを実施。
• - 2022年11月: 一部仕様向上および新CIを適用。
• - 2023年4月: 価格改定を実施。

車名の由来

エルグランドの名称は、スペイン語の定冠詞「EL」と「偉大な」を意味する「GRAND」を組み合わせた造語です。この名前には、傑出した存在であることを目指した意図が込められています。

まとめ

数度のモデルチェンジを経て進化し続けるエルグランドは、日産自動車が誇る高級ミニバンとして、広々とした空間と、それに見合う性能を持つ魅力的な車です。これからも日本のミニバン市場において重要な役割を果たし続けるでしょう。

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