日産・シーマ

シーマ（Cima）

日産自動車がかつて製造・販売していた高級乗用車、シーマは、日本国内での高級セダン市場に革新をもたらしました。1988年に初代モデルが登場し、以降は人気を博しました。

概要

初代シーマは、高級セダン「セドリック」と「グロリア」の上級モデルとしての地位を確立。法人やハイヤー向けのモデルとして、また一般オーナーのラグジュアリーな選択肢としての役割も果たしました。「シーマ現象」と呼ばれる販売ブームを巻き起こし、初年度だけで36,400台の売上を記録。その後も販売を続け、合計で129,000台を売り上げました。

モデルチェンジを経て、1991年には2代目モデルが登場しましたが、景気後退などの影響を受け、販売台数は減少。最終的には2010年に生産が一時中止されることとなりました。しかし、3代目はインフィニティブランドのフラグシップモデル「Q45」として日本国外でも展開されました。

初代モデル（FPY31型、1988年-1991年）

初代シーマは、トヨタ・クラウンの3ナンバー版に対抗する形で1988年に発売されました。ホイールベースを持ち、流麗なデザインを特徴とするこのモデルは、ユーザーの高級志向に応えるべく開発されました。搭載エンジンは、V型6気筒DOHCの自然吸気とターボモデルの2種類があり、特にターボモデルはその爆発的な加速性で人気を集めました。CM戦略も革新的で、日産は広告により新しいビッグカー時代の到来を予感させるメッセージを打ち出しました。

2代目モデル（FY32型、1991年-1997年）

1991年に登場した2代目シーマは、センターピラーを持つ一般的なセダンへと変身しました。前モデルの良さを引き継ぎつつ、より多様なニーズに応える設計が施されました。また、V型8気筒DOHCエンジンを搭載し、そのパフォーマンスで高い評価を受けました。この代のシーマは、バブル経済を反映した豪華な内装が特徴的で、インテリアにおいても質感の向上が図られました。

3代目モデル（FY33型、1996年-2001年）

3代目モデルは、日本国内のハイエンドセダン市場において、ドイツ製高級車を意識したデザインが採用されました。エンジンラインナップには、V8エンジンや6気筒ターボエンジンがあり、特にセダンとしての走行性能や安全性が強化されました。この代から海外輸出も行われ、「インフィニティQ45」として北米市場にも展開されるようになりました。

4代目モデル（F50型、2001年-2010年）

2001年にフルモデルチェンジを行い、搭載エンジンには新世代のV8直噴エンジンが採用されました。このモデルは、先進的な運転支援技術も取り入れられ、自動ブレーキや車線逸脱防止システムが装備されるなど、最新技術が結集した一台となりました。豪華な内装や安全性の向上も図られ、利便性や快適性でも他のモデルと差別化されました。

5代目モデル（HGY51型、2012年-2022年）

生産休止を経て、2012年にハイブリッド専用モデルとしての再登場を果たしました。フーガをベースにしたこのモデルは、リアシートの広さに重点を置き、クオリティの高い内装や燃費性能の高さが評価されました。また、製造工程においては品質向上が図られ、専任の職人による塗装や検査体制が敷かれました。ハイブリッド技術による省エネルギー性能も強化され、将来の高級車としての地位を再確立しました。

結語

シーマは日産自動車が長い歴史を持ちながら、様々なモデルチェンジを経て進化を続けた高級セダンです。その魅力は単に外見や性能に留まらず、高級感あふれる内装と先進的な安全技術によって多くのファンを魅了しました。長い歴史と共に消費者のニーズに応じて柔軟に変化を遂げたシーマは、日本の自動車市場における重要な存在であり続けました。

もう一度検索