日産・ラシーン

ラシーン（RASHEEN）

ラシーンは、1994年から2000年まで日産自動車が企画・販売していたクロスオーバーSUVです。その製造は高田工業が担当しており、6年間にわたり多くのユーザーに愛されてきました。型式は「R*NB14」で、実際には他のモデルとの共通部品はほとんどなく、1世代古いサニーやパルサーと多くの部品を共有しています。このモデルは全車四輪駆動（4WD）で、ビスカスカップリングによるフルオートフルタイム4WDシステムを搭載しているのが特徴です。

ラシーンのデザインは、日産のパイクカーシリーズに触発されたもので、坂井直樹が率いるウォータースタジオが関与しています。製品は限定生産ではなく、ヴァリエーション豊かに展開されました。特に特徴的なのは、外装のデザインで、角張ったスタイルと、高さを抑えたフォルムが印象的です。これは、他のSUVにはない独自の魅力を発揮し、多くのファンを魅了しました。

テールゲートは上下開きタイプで、モデルによっては背面にスチールパイプ製のキャリアを装備してスペアタイヤを搭載することができます。タイプIとタイプI B仕様は背面スペアタイヤキャリアがなく、荷室内にタイヤを収納します。各タイプの全長は、タイプIおよびタイプI Bが3,980 mm、タイプIIが4,115 mm、タイプIIIが4,210 mmです。

開発時のコンセプトは、本格的なクロスカントリーカーを志向していたが、実際には手軽にその雰囲気を楽しむためのもので、不整地での激しい走行は想定されていませんでした。1993年の東京モーターショーでの試作車が好評だったことから、細部を改良し、1994年12月に本車が発売されることとなりました。

この車は一度もフルモデルチェンジされることなく、2000年まで生産され続けました。国内外を問わず評価が高く、中古車市場でも今なお人気を保っています。ラシーンを専門に扱う中古車販売店も存在し、コレクター心をくすぐります。特に、1997年から1998年にはアニメ「ドラえもん」や「ムーミン」がイメージキャラクターとして起用され、話題を呼びました。

また、当時のキャッチコピーには「新・ぼくたちのどこでもドア。RUN!RUN!ラシーン新発進。」といったものもあり、ドラえもんのイメージカラーである「ドラえもんブルー」が特別に設定されました。これにより、ラシーンはただの車に留まらず、文化的なアイコンともなったのです。

初代 RB14型（1994年-2000年）

1993年10月に東京モーターショーで試作車が登場し、1994年12月には正式に発売されました。エンジンには1497ccの直列4気筒DOHCで105馬力を発揮するGA15DE型が採用されており、ビスカスカップリングを利用したフルオートフルタイム4WDが全車に搭載されています。

その後、1995年に「タイプF」、1996年に「タイプL」、「タイプJ」といった特別仕様車が次々と登場しました。さらに1997年にはマイナーチェンジが行われ、エンジンが1838ccのSR18DE型に変更されるなど、スペックアップが図られました。

1998年には「ラシーンフォルザ」が追加され、全幅が1,700mmを超え、3ナンバー車両となりました。最後のモデルでは特別仕様車「タイプM」が登場し、さまざまなニーズに応える多彩なラインアップが展開されていました。

最終的には2000年8月31日をもって製造が終了し、総生産台数は72,793台に達しました。発売当初から続くシンプルながら魅力的なデザインは今も人々の記憶に残り、ラシーンは日産自動車の歴史の中でも特別な存在となっています。

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