日産・R91CP

日産・R91CPの概要

日産・R91CPは、1991年に全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権（JSPC）およびル・マン24時間レース向けに製造されたグループCカーです。この車両は、日産初の完全自社製グループCカーであり、約20年ぶりにプロトタイプレーシングカーとしても完全自社製のモデルとなりましたが、ル・マンへの参戦は実現しませんでした。

エンジンと性能

R91CPは、3.5リッターのV型8気筒ツインターボエンジン「VRH35Z」を搭載しており、1991年のJSPC全7戦中、3勝を挙げ、星野一義がドライバーズ、そして日産がメイクスの両部門でチャンピオンに輝く成功を収めました。1992年シーズンにもR91CPはチーム・テイクワンにてJSPCに参戦しました。

日産はそれまで外部コンストラクターにシャシー製造を委託していましたが、時間のロスを回避したいという意向からシャシーの完全内製化に踏み切りました。この内製化は、アメリカでの成功をおさめたニッサン・パフォーマンス・テクノロジー（NPTI）の活動からも影響を受けています。

デザインと特徴

R91CPの外観は、過去のモデルR90CPに似てはいますが、モノコックは日産・宇宙航空事業部によって設計されるなど、国産ならではの特長が際立っています。特にコクピットの設計は長距離レースを意識しており、雨天時にも水の侵入を防ぐ設計が施されています。また、安全性を考慮し、ロールケージは非常に堅固に設計されています。

大型のインテークダクトはエンジン吸気用ではなく、リアブレーキの冷却用に配置されています。バックミラーはドライバー側のみドア部に取り付けられる非対称の配置が特徴です。サスペンションはドライバビリティを重視し、ロールセンターを高めて姿勢の変化を明確にしています。

このような設計は市販化を視野に入れているとされており、非常に乗りやすいマシンとなりましたが、タイヤの負担が増大したため、タイヤバーストによるクラッシュのリスクも高まりました。

戦績

1991年シーズンでは、ニスモが2台のR91CPをエントリーしました。開幕戦の富士500kmでは、星野一義がドライブする23号車がポールポジションから序盤をリードし、デビュー戦で勝利を収めました。その後の第2戦、富士1000kmでは、23号車と1号車が接触しながらも、23号車が2連勝を飾りました。

第3戦和富士500マイルでは、両車共にトラブルに見舞われ、特に23号車はトヨタの91C-Vに逆転される展開に。鈴鹿1000kmでは、23号車のみが戦い、リタイアに終わったものの、第5戦では1号車が3位に入賞するなど、厳しい戦いを強いられました。

最終戦ではポイントで優位に立った23号車が2位でゴールし、日産は2年連続でドライバーズとコンストラクターズのダブルタイトルを獲得しました。

1992年には、デイトナ24時間レースに参戦し、R91CPは独走状態を築いたものの、フロントラジエーターの目詰まりなどに悩まされました。最終的には優勝を果たし、763周の走行ラップは長年の大会記録となりました。

その後、JSPCでは日産・R92CPに移行するものの、古くからのチームがR91CPを使い続けました。結果、1992年の富士1000kmでは2位に入賞しました。

結論

日産・R91CPは、設計とパフォーマンスの面において日産の技術力を象徴するマシンであり、イノベーションがいかに競技スポーツに活かされるかを示す一例です。その実績は、将来の技術開発にも大きな影響を与えています。

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