日立航空機

日立航空機株式会社の概要

日立航空機株式会社（ひたちこうくうき）は、1941年から終戦まで航空機や航空機用エンジンの製造を行っていた企業である。元々、東京瓦斯電気工業が1939年2月に航空機エンジン「神風」を開発し、その後経営権が日立製作所に譲渡された。航空機部門が独立したことで、日立航空機が設立された。以後、1941年から終戦にかけて、4機種1,783機の航空機と14機種13,571基のエンジンを製造した。その生産は当時の日本の全生産数の中で2.6%の航空機と11.6%のエンジンを占めていた。

生産機体とエンジン

日立航空機は、主に練習機や小型エンジンの製造に注力しており、中型旅客機や戦闘機の設計は行わなかった。生産実績としては、三式初歩練習機が89機、九三式中間[[練習機]]が1,400機、零式戦闘練習機が279機などがある。特に羽田工場での九三式中間[[練習機]]の生産が顕著であり、1940年から1942年、1943年から1944年までの間に製造された。

エンジンについても多種にわたり、生産工場ごとに異なるモデルが製造され、金星43や天風シリーズなどが代表的であった。いったんは零式戦闘機や銀河雙発爆撃機の製造計画も計画されていたものの、戦争の影響で生産が実現することはなかった。

工場の構成と戦時中の状況

日立航空機は、戦時中の最盛期には5つの工場を運営しており、34,000人以上が従事していた。大森工場はエンジン製造を主に行い、羽田工場では機体生産が中心であった。千葉工場は1942年に操業を開始し、エンジンと機体の生産を行っていた。また、立川工場は最も大きなエンジン製造工場でありながら、空襲により大きな被害を受けた。

1945年には疎開計画が実施され、工場設備や人員が周辺地域に移されたが、終戦により多くの計画は未実現であった。特に生産中断が続いた影響で、計画されていた生産数には達しなかった。

戦後の再編と法人化

戦後、日立航空機は企業再建整備法に基づいて1949年に新たに東京瓦斯電気工業株式会社を設立し、民需向けの製品製造へと転身した。その後、1953年には富士自動車株式会社と合併を行い、さらに1972年に大日本機械工業株式会社と合併し、最終的に現在の会社に再編成された。

2008年には法人名を「日立航空機株式会社」に戻し、過去の歴史に敬意を払いつつ新たな出発を遂げた。これに対し、日立製作所はこの新たな会社が日立グループとは無関係である旨を明言している。

参考文献

日立鵬友会による「太平洋戦争中の日立航空機株式会社」は、戦中の活動や空襲の影響についての詳細が記録されている。こちらは米国戦略爆撃調査団の報告を元に、日立航空機OBによってまとめられたものである。

外部リンク

• - 千葉県の産業・交通遺跡

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