日系コロンビア人

日系コロンビア人とは

日系コロンビア人とは、日本人の血を引くコロンビアの市民を指します。彼らの歴史は、19世紀末から20世紀初頭にかけての日本とコロンビアの交流に始まり、個人の渡航、そして集団移民へと発展しました。この過程で、日系人はコロンビア社会に深く根付き、独自の文化を築き上げてきました。

歴史

初期の交流

1908年、「日本コロンビア修好通商航海条約」が締結され、両国間の国交が開かれました。しかし、その前から両国の間には交流がありました。旅行家のニコラス・タンコ・アルメーロは、国交樹立前の1874年に日本を訪れ、日本の歴史や文化について詳細な記録を残しました。

コロンビアに初めて入国した日本人としては、庭師の川口友広が知られています。1908年、コロンビア人アントニオ・イスキエルドとともにコロンビアに渡り、首都ボゴタで庭園を整備しました。川口は日本で皇族の庭仕事に従事していた経験があり、大隈重信の推薦でコロンビアに渡ったとされています。彼を含めた初期の日本人の消息は不明な点が多く、その後の詳細な記録は残されていません。

移住の始まり

広島県出身の水野小次郎は、日露戦争に従軍後、南米に移住しました。当初はペルーに向かいましたが、コレラの流行のためパナマに転居し理髪店や雑貨店を営んでいました。その後、胃病治療のためにコロンビアに移住し、症状が全快したことから、故郷の広島から道工利雄と安達俊夫を呼び寄せました。彼らはコロンビア人女性と結婚し、バランキージャで商売を始めました。この3人が、初期の日系コロンビア人の基盤を築きました。

集団移民の開始

1920年代に入ると、日本からの集団移民が始まりました。東京外国語学校の学生だった竹島雄三は、コロンビアの小説『マリア』に感銘を受け、翻訳・紹介しました。この小説に触発された学生たちは「南米雄飛会」を結成し、コロンビアのバジェ平原に移住しました。

その後、日本政府はバジェ平原を移民先として調査し、1928年に約80ヘクタールの土地を購入。10家族を「試験移民」として入植させました。1929年から1935年にかけて、計24家族159人（うち148人が福岡県出身）がコロンビアに移住しました。

農業への挑戦と成功

移民たちは、当初は陸稲栽培を試みましたが失敗。その後、ソバ、綿花、ユカ、ジュートなど様々な作物を試しましたがうまくいきませんでした。最終的に、日本から持ち込んだウズラ豆の栽培に成功し、農業機械を導入することで、移住から8年後には耕作面積を大幅に拡大しました。

第二次世界大戦の影響

第二次世界大戦中、日系人は困難な状況に置かれました。アメリカは、ナチス・ドイツと同盟国であった日本の南米移民を国家安全保障上の脅威とみなし、コロンビアの日系人居住地を監視しました。1944年、竹島雄三を含む日系人の代表が「敵国人収容所」に軟禁されました。終戦後、彼らは解放され、それぞれの生活を再建しました。

戦後の発展

戦後、日系人の農業は機械化や栽培技術の確立によって発展し、耕地面積は5千ヘクタールを超えました。現在、コロンビアの日系人は約1800人おり、農業以外にも医師、弁護士、実業家など様々な分野で活躍しています。

多くはコロンビア人と結婚し、コロンビア社会に同化していきました。そのため、二世、三世の日系人は日本語を話せない者も多いですが、そのルーツは今もなお、彼らのアイデンティティを形成する重要な要素となっています。

言語、宗教

日系コロンビア人の間では、スペイン語が主に使われていますが、日本語や英語も使用されています。宗教は、キリスト教、仏教、神道など様々です。

著名な日系コロンビア人

- 早田英志：エメラルド王として知られる映画監督。
- 道工薫：元サッカーコロンビア代表の選手。
- ENRIQUE：元BARBEE BOYS|BARBEE_BOYSのベーシスト。

まとめ

日系コロンビア人は、先人たちの努力と苦労の上に築かれた歴史を持っています。彼らはコロンビア社会に深く根付き、多文化共生の社会を形成しています。その歴史は、日本とコロンビアの交流の歴史であり、日系人の強さと多様性を示しています。

もう一度検索