日系ソロモン諸島人

ソロモン諸島における日本人と日系人

本稿では、ソロモン諸島に居住する日本人、特に漁業に従事した人々、そして彼らから生まれた日系ソロモン諸島人の歴史と現状について概説します。1970年代以降、ソロモン諸島には少数の日本人コミュニティが存在しました。これらの人々は主に、現地に支社を設立した日本の漁業会社の従業員であり、多くは南西諸島の伊良部島出身の漁師でしたが、本土出身者もいました。彼らと現地住民との間に生まれた二世も暮らしています。2018年時点での在留邦人数は108人です。

歴史

1960年代後半、大洋漁業株式会社（現マルハ）はソロモン諸島を含む南太平洋での漁業活動に関心を示しました。ソロモン諸島海域のカツオとマグロの資源に注目し、1971年にイギリス植民地政府との合意に基づき、ツラギ島に缶詰工場と燻製工場を建設しました。この拠点は「ソロモンタイヨー」と名付けられ、同社の支店本部としての役割も担いました。

漁業運営には宮古諸島出身の沖縄人漁師が雇用され、日本本土から派遣された社員が業務監督を行いました。1970年代には、ソロモンタイヨーは沖縄人漁師が所有する民間船に依存して漁業を行っており、漁師には追加の手当が支給されていました。当初、ソロモンタイヨーの漁船乗組員は沖縄人と少数のソロモン諸島民で構成されていました。

1980～90年代にかけて、ソロモン諸島民に対する沖縄人漁師の割合は徐々に減少し、沖縄人漁師は漁業活動の物流管理を担当するようになりました。若林良和の指摘によれば、1970年代に主流だった一本釣りの餌釣り漁は衰退し、1980年代からより多くの漁獲を可能にするまき網漁などの近代的な漁法が導入されましたが、沖縄人漁師は2000年代まで旧来の漁法を使い続けました。1990年代にノロに開設された新たな沿岸拠点は、まき網漁と餌釣り漁両方の設備を備え、後者は沖縄の漁師が利用していました。しかし2000年、部族対立の激化によりマルハは撤退し、ソロモンタイヨーは100％国営企業となりました。

多くの沖縄系漁師は島民の女性と性的関係を持っていましたが、その多くは非合法でした。1973年には既に沖縄系漁師と島民女性との関係が報告され、1975～77年には社会問題として報道されました。1970年代を通じて、ソロモン諸島民は沖縄人に対して不信感を抱いていましたが、1980年代に入り、沖縄系の乗組員が現地住民に代わられるにつれて、その怒りは徐々に収まっていきました。

これらの性的関係はしばしば混血児の誕生につながりました。混血児は一般的に学校で優秀であり、その美質も認められていましたが、同時にソロモン諸島の社会で差別にも直面しました。混血児の母親は子供の相続権の確保に苦労することが多く、沖縄人漁師は混血の子供たちや妻を定期的に支援していましたが、数年後には故郷に戻り、現地の家族を置き去りにすることがほとんどでした。1980年代以降、地方当局が若い女性への性教育プログラムを推進した結果、混血児の出生数は急減しました。

ソロモン諸島民と沖縄人の民族関係は複雑で、沖縄人漁師の仕事上の態度も影響しました。沖縄人漁師は仕事中、ソロモン諸島の乗組員と生活を共にし、1980年代には文化交流プログラムも実施されました。しかし、沖縄人は「粗暴」であると見なされることもあり、1980年代には乗組員の指導にしばしば体罰を用いたため、島民との対立も生じました。

言語

沖縄人漁師のほとんどは、同郷者との日常会話で宮古方言を使用していました。また、日本語にも堪能で、本土からの社員とは通常日本語でコミュニケーションをとっていました。日本人社員の多くは宮古方言を知らず、日本語に不慣れな沖縄人漁師とのコミュニケーションに苦労する場面もありました。沖縄人漁師は、島民の漁師とのコミュニケーションに単純なピジン語を使用し、多くは宮古方言の借用語を交えていました。この変形したピジン語は、しばしば島民から不評を買っており、現地のインフォーマルな場では「ビーチランゲージ」と呼ばれることもありました。

出典

参考文献

Barclay, Kate, A Japanese Joint Venture in the Pacific: Foreign Bodies in Tinned Tuna–Volume 18 of Routledge Contemporary Japan Series, Routledge, 2008, ISBN 0-415-43435-1
Hviding, Edvard, Guardians of Marovo Lagoon: Practice, Place, and Politics in Maritime Melanesia–Issue 14 of Pacific Islands Monograph Series, University of Hawaii Press, 1996, ISBN 0-8248-1664-1
Meltzoff, Sarah K.; Lipuma, Edward S., A Japanese Fishing Joint Venture: Worker Experience and National Development in the Solomon Islands–Issue 12 of ICLARM Technical Reports, The WorldFish Center, 1983

関連項目

日本とソロモン諸島の関係

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