日英自動車

日英自動車の概要

日英自動車（にちえいじどうしゃ）は、1950年代から1980年代まで活動していた日本の輸入車ディーラーである。東京都港区赤坂溜池に本社を置き、日本交通を株主としていたこの会社は、その時代の多様な輸入車を日本市場に紹介したことで知られている。

主な取り扱い車種と販売経路

日英自動車は、多くの有名な外国車の輸入代理店としての役割を果たし、MG、モーリス、ウーズレー、ライレー、ポンティアックなど、複数のブランドの車両を扱っていた。また、三井物産との提携により、ルノー車の特約販売も行っていた。1980年代前半には、伊藤忠商事が撤退した後のアルファロメオの取り扱いも経験した。このように、数々の名車を日本に紹介し、輸入車文化の発展に寄与した。

難しい時代の対応

1950年代後半、外車の輸入制限が厳しい時代、日英自動車はトヨペット販売店や、川鍋秋蔵が経営していたオオタ自動車、くろがねオート三輪といった他の販売店と連携を取りつつ、困難を乗り越えていった。こうした業務・販売のネットワークは、輸入車の貴重な流通経路として機能した。

日本交通との関係

日英自動車は日本交通の子会社として設立され、長年にわたり同社との関係を保ちながらビジネスを展開していた。しかし1985年、日本交通からメーカーが直接資本を持つオースチン・ローバー・ジャパン（ARJ）が設立されるのに伴い、日英自動車はARJ事業への業務譲渡を行い、会社の解散に至った。

自動車評論家とのエピソード

興味深いことに、日英自動車には後に著名な自動車評論家となる小林彰太郎が在籍していた。この特別なつながりにより、日英自動車が1960年に輸入したミニ日本上陸一号車（モーリス・ミニ・マイナー）の陸送を小林に依頼することになった。小林は、横浜港から溜池まで車両を運ぶ一環としてこの作業を行い、その時の感動を「ミニ・ストーリー―小型車の革命」の訳者あとがきに記している。

まとめ

日英自動車は、輸入車文化の形成に大きな役割を果たした歴史的なディーラーであり、数々の名車を日本にもたらした。その活動は時代を超え、多くの人々に影響を与えてきた。今日でも、その足跡は自動車愛好家や評論家たちに語り継がれており、貴重な文化的遺産となっている。

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