日近合戦

日近合戦（ひぢかがっせん）

日近合戦は、弘治2年（1556年）に三河国（現在の愛知県東部）の秦梨城、大林、麻生、日近城周辺で繰り広げられた戦いです。「三河忩劇」と呼ばれる大規模な国衆反乱の一部であり、額田地方における重要な戦いの一つとして数えられています。

開戦の背景

当時の奥平氏は、遠江国と駿河国を領有する今川氏に仕えていました。しかし、奥平貞能が今川氏から離反し、三河に進出していた織田信長に接近。大給松平家などもこれに同調したため、今川氏への忠誠を維持する東条松平家などが反発し、日近合戦へと発展しました。

従来、この離反は奥平貞能の父である奥平貞勝によるものとされてきましたが、近年、大石泰史によって新たな見解が示されています。奥平一族の多くは貞能に従ったものの、貞勝自身は今川氏への忠義を貫いたとされています。しかし、一族の大半が貞能に従ったため、江戸時代の編纂史料の段階で誤って貞勝が離反したと記録されたと考えられています。

戦いの経過

2月14日：奥平貞勝が栗生将監の居城である秦梨城を攻め落とします。
2月20日：奥平軍は大林に本陣を構えますが、松平忠茂・松井忠次率いる軍勢に苦戦し、日近城まで後退を余儀なくされます。しかし、奥平軍が放った矢が松平忠茂の胸に命中し、忠茂は大林で戦死します。
2月20日：松平元康（後の徳川家康）が天野源太郎の屋敷に宿泊中、奥平貞勝による夜襲を受けますが、辛くも難を逃れます。
2月27日：山内俊英らが約200の兵を率いて日近城を攻略し、真木治重も連合軍に加勢します。

伝承

日近合戦にまつわる伝承として、「かぼちゃ畑」の話が残っています。この伝承は、額田山内氏の一武将が、日近合戦の際にカボチャのツルに足を取られて落命したことに由来するとされています。

参戦武将

奥平軍

奥平本家：奥平貞勝、奥平貞能
日近奥平家：奥平貞直
大給松平家：松平親乗
麻生松平家：松平正忠
天野景孝

東条松平・山内・松井連合軍

東条松平家：松平忠茂
松井忠次
滝脇松平家：松平乗遠、松平正乗、松平乗高
額田山内氏：山内俊英（柳田城主）
秦梨城主：栗生将監
大川城主：竹内九藤平
真木治重

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