日進市立図書館

日進市立図書館は、愛知県日進市蟹甲町に位置する公共図書館です。その歴史は1980年に日進町社会文化センター図書室として開館したことに始まります。その後、1989年に図書館法に基づく日進町立図書館となり、1994年の市制施行に伴い日進市立図書館へと改称されました。2008年には、岡田新一設計事務所による設計の新館が開館し、現在に至っています。

歴史

年表

1980年6月17日：愛知郡日進町に日進町社会文化センター図書室が開館。
1989年5月1日：図書館条例制定により、図書館法に基づく日進町立図書館が設置。
1994年10月1日：日進町の市制施行に伴い、日進市立図書館に改称。
2008年10月1日：現在地に単独館が開館。

旧庁舎時代（1980年 - 2008年）

1980年以前には、大字岩崎の福祉会館に図書コーナーが存在していました。1979年に新町役場が完成すると、旧町役場を日進町社会文化センターとして転用し、1980年6月17日にその内部に図書室が設けられました。図書室は2階に位置し、一般用と児童用の図書室が設置され、開館時には一般書約8,000冊、児童書約4,000冊が所蔵されていました。開館当初は館内閲覧のみでしたが、後に貸出サービスも開始されました。1986年には移動図書館車「あじさい号」の運行を開始。1988年度には貸出冊数が約17万6000冊となり、全国の町立図書館の中でも上位に位置しました。

1989年5月1日には、図書館法に基づき日進町立図書館条例が制定され、施設はそのままに日進町立図書館に改称しました。同年には日進町民会館が開館したことで、社会文化センターに余裕ができたためです。改称時の蔵書数は図書52,079冊、紙芝居632組、カセットテープ150本、ビデオテープ20本でした。改称と同時に改修工事が行われ、11月に工事が完了。1991年にはコンピュータを導入。1992年にはビデオテープ、CDの貸出を開始し、1993年には身体障害者への郵送・宅配サービスを開始。1993年には参考図書室を設置しました。1994年10月1日には日進町の市制施行に伴い、日進市立図書館に改称されました。1996年には学習席を移設して閉架書庫を増設。2007年度には貸出数が約64万冊に達し、全国の同規模自治体の中で12位となっていました。

新館建設構想

旧図書館の老朽化と蔵書数の増加により、1996年には新館建設が表明されました。しかし、建設用地の買収議案が議会で否決され、計画は難航しました。その後、新図書館検討委員会が発足し、建設候補地が選定されました。2003年の市長選では新館建設が争点となり、現職市長が再選しましたが、議会での再度の議案否決により、開館は大幅に遅れました。2006年に新館の設計が開始され、同年12月に建設が着工されました。

単独館時代（2008年 - ）

2008年10月1日に新館が開館しました。総工費は29億4000万円で、開館時の蔵書数は約23万冊。収蔵能力は約48万冊と、旧館の約2.5倍に拡大されました。開館後1か月の1日平均貸出数は3,374点と、旧館時代の1.5倍に増加。2009年には愛知県の公共図書館として初めてインターネット音楽配信サービス「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」の館外利用権の貸出を開始しました。2010年には椙山女学園大学と現物貸借協定を結び、大学図書館の資料を借りられるようになりました。2011年度には愛知県の「人にやさしい街づくり賞」特別賞、2012年度には内閣府の「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功者表彰」を受賞しました。旧図書館の建物は耐震補強工事後、市役所北庁舎として再利用されています。2012年には雑誌スポンサー制度、2013年にはパソコン専用室を設置。2014年度には図書館流通センターが指定管理者となり、2016年には公衆無線LANを整備。2018年には開館10周年記念事業が開催されました。

施設

日進市のほぼ中央部にある蟹甲町には、日進市立図書館の他、市役所や福祉センターなどの公共施設が集まっています。図書館の設計は岡田新一設計事務所が担当し、「滞在型図書館」「情報発信拠点」などの5つの柱をコンセプトとしました。建物には、四隅にシンボル塔がそびえ、自然採光を積極的に取り入れています。

児童コーナーは旧館の3.1倍の広さとなり、新たにティーンズコーナーが設置されました。一般開架には最大14万冊が収蔵可能で、約300席の閲覧席が用意されています。グループ学習室やパソコン専用室も設置され、1階と2階にレファレンスデスクが設けられています。蔵書にはICタグが貼付され、3台の自動貸出機が導入され、館外には時間外貸出ロッカーが設置されています。

利用案内

1980年の図書室設置当初は館内閲覧のみでしたが、同年9月には館外貸出が始まりました。貸出冊数や期間は、コンピュータの導入やサービスの拡充に伴い変更され、2005年には貸出冊数が10冊となりました。貸出対象者も、当初は日進市在住者などに限られていましたが、2008年には近隣市町在住者にも拡大されました。移動図書館車「あじさい号」は、2007年にサービスを終了。その後、市内の子育て支援センターや福祉センターなどに返却ポストが設置されました。

脚注

『広報にっしん』日進市、各号
日進市立図書館『図書館年報平成7年度のあらまし』日進市立図書館、1996年。
日進市立図書館『図書館年報平成28年度のあらまし』（PDF）日進市立図書館、2017年。
日進町史編纂委員会『日進町誌本文編』日進町役場、1983年。

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