日露協約

日露協約の概要

日露協約は、日露戦争終了後に結ばれた一連の協約であり、日本とロシアの双方が権益を認め合う内容を含んでいます。これらの協約は4回にわたって締結され、シリーズを通じて両国間の影響力に関する合意を固めました。初の協約は1907年に調印され、最後の締結は1916年に行われました。

日露協約の経緯

日[[清戦争]]後、特に朝鮮半島と満洲における利権を巡る対立が激化し、日本国内では開戦を巡る意見が分かれていました。一方では開戦を避けるべきとの意見があり、もう一方では避けられないという意見も存在しました。このような状況下で、日露両国の利益を調整する必要性が提起され、特に伊藤博文の「日露協商」構想が注目を浴びることとなりますが、日英同盟の成立によりこの構想は頓挫します。

各第一次日露協約の詳細

第一次日露協約 (1907年)

1907年7月30日に調印された第一次日露協約は、ロシアのイズヴォリスキー外相と日本の本野一郎大使によって結ばれました。公開協定では両国間の既存の合意を尊重する旨が記され、秘密協定では南満洲と北満洲におけるそれぞれの利権が規定されました。特に、外蒙古におけるロシアの権益、日本の朝鮮における権益が相互に認められました。

第二次日露協約 (1910年)

続く第2次協約は、1910年7月4日に締結され、再び本野一郎大使とイズヴォリスキー外相が全権大使として名を列ねました。この協約ではアメリカの南[[満洲鉄道]]中立案を拒否し、両国の権益を確実にすることが確認されました。

第三次日露協約 (1912年)

第三次協約は、1912年7月8日に締結されました。目立った点は、辛亥革命に対する反応として内蒙古の東西を日本とロシアでそれぞれ分割する内容が含まれていたことです。

第四次日露協約 (1916年)

最後の第4次日露協約は、1916年7月3日に調印され、第一次世界大戦における日本とロシアの関係強化とともに、外部干渉から中国を守ることが再確認されました。この協約により、両国は東アジアでの特殊権益を再度確認しました。

協約の崩壊

しかし、1917年に発生したロシア革命により、ロシア帝国が崩壊すると、協約はソビエト政府によって廃止されました。この結果、日本は中国内での権益に対する脅威に直面することになりました。

日露協約の歴史的意義

日露協約は、両国間の緊張関係の構築の過程と、国際的な政治的立場を形成する上での重要な要素となりました。ソ連が成立した後も、北満洲や外蒙古における権益を手放すことはありませんでした。特に1921年のソ連によるモンゴル人民革命党への支援、1929年の中東路事件など、ソ連の影響力を維持しようとする動きが見られました。これに対して日本もその権益を確保しようとし、日露間の勢力バランスは維持されました。

結果的に日露協約は、モンゴル全土の分離に至る歴史的背景としても評価されています。

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