日高六郎

日高 六郎（ひだか ろくろう）

1917年1月11日に青島（中国）で誕生した日高六郎は、2018年6月7日に京都市で逝去した日本の著名な社会学者である。出身地の青島から日本に移り、東京高等学校を経て東京帝国大学の文学部社会学科に進学。1941年には、卒業論文「個人と社会」を執筆し、学業を修了した。

彼の学問的道程は、尾高邦雄の指導を受けながら形成され、戦争の中での社会に対する深い洞察力を培った。陸軍に召集されたものの、肺炎を理由に数ヶ月で除隊。その後、東京帝国大学で助手として働くこととなるが、1944年からは海軍技術研究所で政治情勢の研究に従事した。

戦後の活動

戦後、日本の社会学界で活躍し始めた日高は、東京大学新聞研究所助教授としての活動を経て、1960年には教授に昇格した。彼は、ベトナム戦争に反対する運動に参加し、脱走米兵を匿うなど社会的な不正義と闘った。1969年には、東大紛争において機動隊の導入に抗議し、教授職を辞職した後、1971年にはフランスへと渡った。

日本では、思想に対する姿勢が常に問われ、日高はその立場ゆえ妨害を受けることもあった。特に1974年には、妻がフランス警察に取り調べを受けた事例があり、この事件が影響して1989年までビザを得ることができない状況が続いた。

学問と公の活動

日高は、社会学と文学の融合を図り、多様な視点から現代の問題に対する考察を行なった。同時に、彼は多くの著書を執筆しており、その中には社会的実践について考る内容も含まれている。日高の評価は分かれ、彼の非マルクス主義的な立場は賛否が存在したが、その社会学的観点は多くの人々に影響を与えた。著作には『現代イデオロギー』や『戦後思想を考える』など、幅広いテーマが扱われている。

日高は、学問を通じた社会改革を目指し、多方面での活動を継続する中、特にジャーナリスト性を備えた評論家としても認識されていた。彼自身の言葉で「社会的実践、脱領野性、ジャーナリスト性を官学アカデミズムと調停すること」の重要性を説いている。

最晩年

2018年には101歳でその生涯を閉じるも、その足跡は今なお多くの研究者や思想家に引き継がれている。社会学者としての影響力のみならず、文化人としての活動も多岐にわたった日高六郎は、日本社会学界のレジェンドとして語り継がれる存在である。

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