尾高邦雄

尾高邦雄の生涯と業績

尾高邦雄（おだか くにお、1908年10月17日 - 1993年9月11日）は、日本の著名な社会学者であり、東京大学文学部の名誉教授です。彼は、実業家の尾高次郎を父に持ち、渋沢栄一の孫でもあります。社会学の分野において多大な業績を残し、特に労働社会学や職業社会学に関する研究で知られています。

教育と初期のキャリア

1908年に東京市根岸で生まれた尾高は、1926年に東京高等師範学校附属中学校を卒業しました。その後、第二高等学校を経て、1932年に東京帝国大学文学部社会学科を卒業しました。彼が大学時代に提出した卒業論文は『社会学における了解的方法』であり、この頃からマックス・ウェーバーの思想に強い影響を受けていました。

卒業後、彼は母校で副手としてキャリアをスタートさせ、後に東京大学社会科学研究所の主任研究員となりました。しかし、1934年には研究所が閉鎖され、その後、東京帝国大学文学部助手に就任します。1942年には講師へと昇進し、戦後の1945年には助教授となりました。

戦後の昇進と学位

1947年には学位論文『職業社会学』によって文学博士号を取得し、1953年には東京大学の教授に昇進しました。その後、1969年に同大学を定年退官し、名誉教授となりました。退官後は上智大学で教鞭をとり、1979年までその職を続けます。1988年には日本学士院の会員に選出されています。

研究と著作

尾高は産業社会学、労働社会学、職業社会学といったテーマを中心に多くの研究成果を上げました。彼の研究は、労働を通じて人間の社会的関係を探求するものであり、社会学のさまざまな領域に影響を与えました。没後には彼の著作が『尾高邦雄選集』（全5巻）としてまとめられ、後世に引き継がれています。

家族と親族

尾高邦雄は多くの家族に恵まれました。父の尾高次郎は実業家であり、朝鮮興業社長を務めていました。彼の長兄・尾高豊作は郷土教育家として刀江書院社長を、次兄・大川鉄雄は製紙実業家として成功を収めています。三兄の尾高朝雄は法哲学者、四兄の尾高鮮之助は美術研究者でしたが早世しています。また、弟の尾高尚忠は指揮者・作曲家として知られています。彼の妻、京子は和辻哲郎の長女で、1933年に結婚しました。

受賞歴

尾高は生前に多くの栄誉を受けており、1993年には叙正四位に加え、叙勲二等授瑞宝章が授与されています。彼の業績と影響力は、今なお社会学の研究において高く評価されています。

まとめ

尾高邦雄は日本の社会学史において重要な人物であり、彼の影響は今なお感じられています。彼の著作や思想は、社会学の多様な分野での議論を深める基盤となり、未来の研究者たちにとって貴重な資源となっています。

もう一度検索