旧ロシア領事館 (函館市)

旧ロシア領事館：函館の歴史を語る建築物

旧ロシア領事館は、北海道函館市船見町に位置する歴史的建造物です。この建物は、かつてロシア帝国およびソビエト連邦の領事館として使用されていました。函館市によって「景観形成指定建築物」に指定されており、日本国内に現存する唯一のロシア帝国による在外公館建築として、その価値が認められています。

歴史

ロシア領事館は、安政5年（1858年）に箱館（現在のもとまち）に開設されました。これは函館における最も初期の領事館の一つです。1872年（明治5年）に一時閉鎖されましたが、1906年（明治39年）に現在の場所で再開されました。現在の建物は、1908年（明治41年）に再建されたものです。

ロシア革命後、領事館は日ソ基本条約の締結に伴い、ソビエト連邦の領事館となりました。しかし、太平洋戦争末期の1944年（昭和19年）に閉鎖され、その後は在外公館としての役割を終えました。

戦後、建物は1952年（昭和27年）から外務省の管理下に置かれ、1964年（昭和39年）に函館市が購入しました。その後、「函館市立道南青年の家」として利用されましたが、1996年（平成8年）に閉鎖され、長らく閉鎖された状態が続いていました。2020年には一日限定で一般公開され、多くの人々が訪れました。

2021年には名古屋市内の企業に売却され、2023年3月からはホテルとして再生するための工事が開始されています。

年表

1858年（安政5年）：ロシア領事館が箱館に開設
1860年（万延元年）：大工町に領事館が竣工、教会も併設
1872年（明治5年）：領事館が事実上閉鎖
1906年（明治39年）：領事館が再開
1907年（明治40年）：函館大火により領事館が焼失
1908年（明治41年）：現在の建物が再建
1925年（大正14年）：日ソ基本条約によりソ連領事館となる
1944年（昭和19年）：ソ連領事館が閉鎖
1964年（昭和39年）：函館市が土地・建物を購入
1965年（昭和40年）：「函館市立道南青年の家」としてオープン
1996年（平成8年）：「道南青年の家」が廃止
2021年：名古屋市内の企業に売却
* 2023年：ホテルとして再生工事開始

建築的特徴と価値

旧ロシア領事館の建物は、ロシア帝国時代の建築様式を色濃く残しており、日本の近代建築史上においても重要な存在です。再建された建物は、耐火構造を意識した石造りの外観を持ち、重厚感と格式の高さを感じさせます。内部の装飾や建具にも、当時のロシアの文化や技術が反映されており、歴史的な価値が高いと評価されています。

まとめ

旧ロシア領事館は、函館の開港期から現代に至るまでの歴史を物語る貴重な遺産です。領事館としての役割を終えた後も、青年の家としての利用や一般公開などを経て、多くの人々に親しまれてきました。今後はホテルとして新たな役割を担い、函館の観光資源として、その魅力を発信していくことが期待されます。

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