旧下関英国領事館

旧下関英国領事館

旧下関英国領事館は、山口県下関市唐戸町に位置する、現存する国内最古の領事館建築です。1906年（明治39年）に竣工した煉瓦造2階建ての建物は、1999年（平成11年）5月に国の重要文化財に指定されました。

歴史

日清戦争後、朝鮮半島の政治経済的重要性の高まりを受け、英国政府は1901年（明治34年）9月13日に下関に領事館を開設しました。管轄区域は山口、広島、福岡、大分の4県に及び、初代領事はフランク・ウィリアム・ウオルター・プレイフェアが務めました。

当初は赤間町に開設されましたが、手狭になったため、下関市から提供された敷地に現在の旧下関英国領事館が建設されました。建設にあたっては、英国工務局上海事務所の建築技師長ウィリアム・コーワンが設計を担当。クィーン・アン様式を取り入れた設計は、本局の修正指示を経て完成しました。

日英同盟と大陸との交通の要衝という背景から、下関に置かれた領事館は重要な役割を果たしました。しかし、1922年（大正11年）に長崎英国領事監督下の領事事務館となり、1940年（昭和15年）には臨時在長崎英国領事館出張所となりました。

第二次世界大戦後、建物は下関市に買収され、警察署の出張所や考古館として利用されました。1987年に下関市指定有形文化財に指定され、1989年から一般公開されています。1999年には国の重要文化財に指定され、2014年の再オープン後は記念館・市民ギャラリーとして利用されています。

平成の保存修理工事

2008年（平成20年）11月から2014年（平成26年）2月にかけて大規模な保存修理工事が行われました。この工事では、建設当初の姿への復元や構造補強に加え、地盤沈下対策として建物の揚屋も行われました。また、煉瓦壁の補強や、劣化したモルタルの修復も行われました。

工事は2度の工期延長を経て、2014年（平成26年）2月28日に完了しました。これらの遅延は、第1期工事の調査で把握しきれなかった旧構造との不整合が原因でした。

施設

本館
1階：展示スペース
2階：ミーティングルーム、喫茶＆パブ
屋根裏部屋
附属屋
ギャラリー

利用情報

開館時間
本館1階：9時～17時
2階喫茶＆パブ：10時～18時
附属屋ギャラリー：9時～22時
休館日：火曜、年末年始、臨時休館あり
アクセス：JR山陽本線 下関駅からサンデン交通バスで7分、「唐戸」下車すぐ

周辺情報

唐戸桟橋
カモンワーフ
唐戸市場
旧秋田商会ビル
下関南部町郵便局
亀山八幡宮
しものせき水族館海響館

参考文献

「重要文化財旧下関英国領事館」（入館案内）
泉田英雄『旧下関英国領事館建築に関する文献調査報告書』、下関教育委員会、2011年。

関連項目

旧イギリス領事館（曖昧さ回避） - 各地の旧イギリス領事館
唐戸
山口県の観光地

外部リンク

* 旧下関英国領事館公式ホームページ

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