旧国立生糸検査所

旧国立生糸検査所：神戸の近代建築と創造の拠点

神戸市中央区新港地区に佇む旧国立生糸検査所は、1932年に建設された歴史的建造物です。旧神戸市立生糸検査所に隣接して建てられ、陸軍技官の置塩章氏による設計は、ゴシック様式の意匠を巧みに用いたスケール感のある近代建築として高く評価されています。

かつては独立行政法人農林水産消費技術センターの施設として使用されていましたが、2008年度末に同センターがポートアイランドに移転した後は、その将来が危ぶまれていました。しかし、神戸市による買収と、歴史的景観の保全と活用の取り組みによって、現在はデザイン・クリエイティブセンター神戸（KIITO）の新館として新たな役割を担っています。

KIITO新館としての活用

旧国立生糸検査所は、KIITO新館として生まれ変わり、クリエイティブな活動を支援する多様な空間を提供しています。

1階には、イベントなどに利用可能なホールや、ギャラリーA、B、キッチンなどが配置され、多様なイベントや展示に対応できるようになっています。

2階から4階は、実験的な活用が可能なスペースが多数用意されています。プロジェクトスペースやものづくり工房などがあり、アーティストやクリエイターの活動拠点として、創造的な活動を生み出す場となっています。これらのスペースは、自由な発想と実験的な試みを促進する環境を提供し、革新的な創造活動の生まれる土壌となっています。

近代建築としての価値

旧国立生糸検査所は、神戸税関とともに神戸港新港地区の景観を象徴する存在です。ゴシック様式の洗練されたデザインと、歴史的建造物としての重厚感あふれる佇まいは、訪れる人々に深い印象を与えます。近代建築の優れた事例として、そして神戸の歴史を語る上でも重要な建築物と言えるでしょう。

その歴史的・文化的価値は高く評価されており、近代都市の歴史的景観保全の観点からも、その存在は重要な意味を持っています。神戸市による買収とKIITOへの再活用は、この貴重な建築物を将来にわたって保存・活用するための英断と言えるでしょう。

アクセスと周辺環境

旧国立生糸検査所へのアクセスは良好です。JR各線三宮駅および三ノ宮駅から徒歩20分、ポートライナー貿易センター駅から徒歩5分と、公共交通機関を利用して容易にアクセスできます。

周辺には、新港地区の他の歴史的建造物や施設も点在しています。神戸税関、旧神戸市立生糸検査所、新港貿易会館、神戸商工貿易センタービルなどがあり、歴史と文化を感じさせるエリアとなっています。また、東遊園地も近く、散策にも適した環境です。

まとめ

旧国立生糸検査所は、近代建築の傑作として、そして創造性を育む拠点として、神戸市に新たな魅力をもたらしています。その歴史的価値と現代的な活用の融合は、都市の再生と発展の象徴と言えるでしょう。訪れる際には、その建築美と、そこで息づく創造的なエネルギーを感じ取ってみてください。

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