旧生野警察署

旧生野警察署について

旧生野警察署（きゅういくのけいさつしょ）は、兵庫県朝来市に位置する歴史的な建物です。この建築物は擬洋風の様式で、1886年に完成しました。その後、1914年まで警察の庁舎として使用され、現在は朝来市指定の有形文化財に認定されています。所有者は生野1区であり、地区の公民館としても機能しています。

建築の特徴

この建物のデザインは非常に特徴的です。三角形のペディメントや軒の蛇腹、そして左右対称に設けられた二つの扉がその特長の一部です。また、屋根の棟瓦には警察の紋章が描かれており、その下には「イ」字を9個組み合わせた生野町の旧町章が施されています。こうしたデザインは、時代を超えた美しさと独自性を持ち合わせています。

構造と歴史

この旧生野警察署の起源は1882年に遡ります。当初、豊岡警察署の生野交番所が生野分署に昇格し、民家を借りて庁舎として利用されていました。1886年には、生野町および周辺の5つの村の協力で木造平屋建ての新しい庁舎が建設され、小屋大工の杉浦嘉作がフランス人技師のスタイルを模した擬洋風建築が完成したのです。

この庁舎は、その後1914年まで警察署として機能し、和田山警察署の生野分署が他の庁舎に移転した後は一時的に私立幼稚園の施設として使用されました。1915年には生野1区の公民館に転用され、地域のコミュニティに貢献する存在となりました。

1999年には生野町で有形文化財に指定され、2001年には改修が行われ、2005年には朝来市発足に伴い、朝来市指定有形文化財に認定されました。

生野警察署の昇格と歴史的背景

旧生野警察署は、1926年に警察の分署制度が廃止され、生野警察署に昇格しました。初代の署長は古家謹一氏が就任。この時期には、地域には生野銀山で働く鉱山労働者が多く、警察署は地域の治安を守る重要な役割を担っていました。しかし、戦中の1943年には一時的に警部補派出所に格下げされる等、激動の時代を経ました。

戦後は警察制度改革により自治体警察に改編され、1951年には国家地方警察に移行、最終的に1954年には現在の兵庫県生野警察署に改称されました。しかし、その後の1957年には再び格下げされ、和田山警察署の生野警部派出所と改称されました。そして1969年には、新たな庁舎も建設されるなど、地域の治安維持に貢献し続けています。

文化財としての重要性

現在、旧生野警察署はその美しい建築と豊富な歴史から、多くの訪問者を魅了しています。地域の文化財として保存されていることが、地元の歴史を語り継ぐ重要な役割を果たしているのです。この建物は単なる警察署の跡地ではなく、地域のアイデンティティを象徴するひとつの資源となっているのです。

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