旧網干銀行本店

旧網干銀行本店：歴史と再生の物語

兵庫県姫路市網干区に佇む旧網干銀行本店は、大正時代の建造物であり、現在ではレストランとして新たな命を吹き込まれた歴史的建造物です。姫路市都市景観重要建築物にも指定されており、その美しい外観と、波乱に満ちた歴史は多くの人々を魅了しています。

建物の歴史

1922年（大正11年）、網干町の支店として建設されました。一般的には本店として認識されていますが、実際には網干銀行の本店は別の場所にあったのです。しかし、重役会議や支店長会議が頻繁に開催され、事実上本店としての役割を果たしていました。

1930年（昭和5年）、網干銀行は三十八銀行に買収され、その後、合併を経て神戸[[銀行]]の網干支店となります。銀行としての役割を終えた後は、婦人服店として利用され、地域に親しまれていました。

2000年（平成12年）、姫路市の都市景観重要建築物に指定され、歴史的価値が改めて認められました。そして2019年（令和元年）、新たな姿で生まれ変わります。

建物の特徴

旧網干銀行本店の魅力は、その建築様式にあります。煉瓦の壁と窓が交互に配置され、縦のラインが強調された外観は、大正期の自由な建築様式を反映しています。かつてはうろこ状の屋根でしたが、現在は波型スレート葺きに改修されています。銅板でできたドーム屋根や、漆喰の天井と壁、寄木張りの床など、細部までこだわり抜かれた造りは、当時の技術の高さを物語っています。

再生への道

2019年、京都大学の大学院生が、この建物の売却情報をSNSで発信したことがきっかけとなり、新たな所有者が見つかりました。ひょうごヘリテージ機構の協力を得ながら、歴史的建造物の保全に配慮した改修工事が行われ、同年、レストラン『旧網干銀行湊倶楽部』としてリニューアルオープンしました。

アクセスと周辺情報

旧網干銀行本店へは、山陽電鉄網干線山陽[[網干駅]]から徒歩9分の距離にあります。周辺には、あぼしまち交流館、旧赤穂塩務局網干出張所庁舎、ダイセル異人館、丸亀藩網干陣屋、旧龍野藩南組大庄屋片岡家住宅など、歴史的な建造物が点在しています。これらの建造物と合わせて巡ることで、網干の歴史と文化を深く知ることができるでしょう。

まとめ

旧網干銀行本店は、単なる歴史的建造物にとどまらず、地域の活性化に貢献する存在となっています。銀行、婦人服店、そしてレストランと、時代の変化とともに姿を変えながらも、人々の生活に寄り添ってきたこの建物は、これからも地域の歴史と文化を繋いでいくことでしょう。その美しい姿と、そこに息づく歴史に思いを馳せながら、訪れてみてはいかがでしょうか。

参考文献

山本真蔵日記を読む会編『山本真蔵日記』、平成29年11月1日（自費出版物）。

山本真蔵（1877～1945）は、大正～昭和期の実業家。網干銀行頭取や網干町長等を歴任した。

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