旧茂木家住宅

旧茂木家住宅：時を超えて佇む古民家

旧茂木家住宅は、群馬県富岡市宮崎の宮崎公園内に保存されている古民家です。大永7年（1527年）の建築と伝えられ、現存する板葺民家建築としては国内でも屈指の古さを誇り、国の重要文化財に指定されています。

概要

建築年代

旧茂木家住宅の建築年代については、大永7年（1527年）築という説が有力です。その根拠として、以下の史料が挙げられます。

文化12年（1815年）の文書「用書写」に、納戸大根太に「大永七丁亥年建」という墨書があったという記録
文政11年（1828年）の改修時の背面桁下端墨書「…此大家昔大永七丁亥年十二月建…」
移築の際の解体調査で、「へや」大曳に「大□年　宝永五年迄百八拾年　茂木政右衛門相改」との墨書が発見（□部分は判読不能）

これらの史料は後世に記されたものですが、建物の構造にも大永7年頃の建築の特徴が見られることから、この頃の建築であるという説が有力視されています。具体的には、棟まで達する太い柱、通し貫を用いない構造、断面の小さい横架材などが挙げられます。

沿革

移築前の規模は桁行6間、梁間4間でしたが、創建当初は桁行10間半、梁間6間あったと考えられています。過去の記録から、宝永5年、明和5年、文政11年、明治41年、大正3年、昭和43年頃に改修が行われたことがわかっています。

1970年（昭和45年）に国の重要文化財に指定され、昭和50 - 51年度に宮崎公園内へ移築、保存修理が行われました。

茂木家

茂木家は、大山城城主（初代：野宮淡路守信勝）の後裔と伝えられています。茂木氏の実質的な祖である茂木政右衛門義信は、小幡信実の甥にあたります。江戸時代には名主を務め、神原村では有数の土地所有者でした。

構造

創建当初は大規模な建築でしたが、度重なる改修によって規模が縮小されました。昭和51年の移築修理では、明治41年に縮小された土間を拡張復元していますが、創建当初の規模・間取りに完全に復元されているわけではありません。

形式・規模

形式：切妻造、板葺、南面及び西面庇付、杉皮葺
桁行：16.2メートル
梁間：8.7メートル
軒高：3.820メートル
棟高：5.950メートル
面積：114.79平方メートル

周辺情報

一之宮貫前神社
神農原駅
丹生湖

アクセス

上信電鉄「神農原駅」より徒歩約20分
上信越自動車道「富岡IC」より車で約15分

旧茂木家住宅は、日本の歴史と文化を伝える貴重な遺産です。富岡市を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

参考文献

村田 敬一『群馬の古建築ー寺社建築・民家・近代化遺産・その他ー』みやま文庫、2002年7月10日、105-106頁。
群馬県文化財研究会 編『上州の重要民家をたずねる（西毛編）』あさを社、2008年11月11日、148-153頁。ISBN 978-4-87024-480-1。
* 富岡市教育委員会『国指定重要文化財旧茂木家住宅の解説』富岡市教育委員会〈第4刷〉、2012年3月。

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