早坂未紀

早坂未紀：SF美少女漫画を彩った漫画家の一生

早坂未紀氏は、1955年に富山県で生まれた日本の漫画家、そして同人作家です。男性である彼は、高校時代に美術大学への進学を目指しましたが、残念ながら入学を叶えることができませんでした。その後、千代田デザイナー学院に入学。そこでクラスメイトの影響を受け、同人活動を開始します。しかし、学院を中退した彼は、その後、漫画家としての道を歩み始めることになります。

和田慎二氏や村上もとか氏といった巨匠のアシスタントを経験した後、1982年に徳間書店『リュウ』で漫画家としてデビューしました。同時期には、徳間書店の美少女漫画誌『プチアップルパイ』などにも作品を発表しています。かがみあきら氏やあさりよしとお氏らと共に、1980年代前半におけるSF美少女漫画シーンを代表する作家の一人として広く知られるようになりました。

彼の独特な作風は、多くの読者から支持を集め、人気を博しました。特に、秋田書店『マイアニメ』の読者投稿コーナーでは、ペンネーム「早坂えむ」として活動し、吾妻ひでお氏の作品『ハイパードール』にも登場しています。このことは、彼の人脈の広さと業界における存在感を示すエピソードと言えるでしょう。

1980年代後半には、漫画家としての活動を引退し、故郷である富山県に戻ってサラリーマンとして生活を始めたとされています。彼の活動の傍らには、漫画家として活躍したのち、映画評論家・イラストレーターとなった三留まゆみ氏（旧姓：早坂みけ氏）がアシスタントとして参加していました。二人の関係性もまた、彼のキャリアにおいて興味深い側面でしょう。

早坂未紀氏の代表作として挙げられるのが、『レディス・アン』（徳間書店アニメージュコミックス）と『麻衣子』シリーズ（東京三世社マイコミックス）です。『麻衣子』シリーズは、『麻衣子MIX』、『麻衣子!』1～3巻、『麻衣子!ファイナル・ラン』の全5作から構成されています。特に『麻衣子!』第1巻は、『麻衣子MIX』の再編集版として刊行されています。また、『麻衣子MIX』というタイトルは、東京三世社『マイコミックス』というレーベル名に由来している点も興味深いものです。

近年では、『Comic Box Jr.』創刊準備号において、早坂未紀氏を特集した小特集が組まれるなど、彼の作品に対する関心は根強く残っています。彼の作品は、時代を超えて読者を魅了し続け、現代においても再評価の余地があると言えるでしょう。美大進学を諦めながらも、漫画家として、そして同人作家として独自の道を切り開いた早坂未紀氏の生き様は、多くのクリエイターにとって貴重なインスピレーションを与えてくれるはずです。彼の作品群は、1980年代前半のSF美少女漫画シーンを知る上で欠かせない存在であり、今後も多くのファンに愛され続けることでしょう。

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