早春物語

早春物語

『早春物語』（そうしゅんものがたり）は、著名な作家赤川次郎の小説が原作であり、1985年に映画化、1986年にはTBS系列でテレビドラマとして放送されました。物語は、17歳の高校生・沖野瞳を中心に展開され、彼女の恋愛や家族の関係が描かれます。

書誌情報

小説は1985年にカドカワノベルズと角川文庫から出版され、映画版では原田知世が主人公・沖野瞳を演じました。テレビドラマ版では荻野目洋子が同キャラクターを演じ、その表紙には映画公開前の二人の写真が使用されていました。2011年には『早春物語 赤川次郎ベストセレクション(17)』として再発行されています。

映画の概要

映画は角川映画の10周年を記念して制作され、原田知世が主演、澤井信一郎が監督を務めました。作品は製作された当時、恋愛の要素が強調されており、高校生と42歳の男性の禁断の恋が描かれています。キャストには、瞳の父・沖野修三を演じた田中邦衛のほか、多くの声優陣や俳優が参加し、ストーリーを彩りました。

主なキャラクターとストーリー

• - 沖野瞳（原田知世）: 17歳の高校生。写真部に所属し、春の鎌倉の風景を撮影するために出かけ、42歳の梶川と出会う。恋愛経験は乏しいが、彼に引かれていく。
• - 梶川真二（林隆三）: 42歳の独身男性。アメリカの商社で働いていたが、仕事の失敗により帰国。瞳と出会い、彼女に惹かれていく。
• - 沖野修三（田中邦衛）: 瞳の父。独身であり、瞳と二人三脚で生活する。再婚を考えているが、心のどこかで故人の妻の存在を引きずっている。

物語は、瞳と梶川の関係が深まる中で、周囲の人々がどのように反応し、彼らの愛が試されていく様子が描かれます。特に、瞳の友人や同級生とのやり取りから、少女が大人の世界へ踏み出す様子がリアルに表現されています。

テレビドラマ版

1986年にはテレビドラマとして『早春物語〜私、大人になります〜』が放送されました。映画版とは異なる設定が多く、瞳は陸上部のエースとして描かれ、ドラマ特有の緊張感やサスペンスが加わっています。特に、瞳が梶川と出会った時の誤解が重要な要素となり、その結果彼女の成長や恋愛の行方が徐々に明らかになります。

受賞歴

この作品は、第59回キネマ旬報ベスト・テンにおいて9位、さらに第9回日本アカデミー賞で澤井信一郎が最優秀監督賞を受賞するなど多くの評価を受けました。また、原田知世は第7回ヨコハマ映画祭で主演女優賞を獲得し、彼女の演技力が高く評価されました。


『早春物語』は、時代を超えて多くの人々に愛される作品であり、それぞれのキャラクターが持つ複雑な人間関係が感情豊かに描かれています。恋愛の美しさと切なさを余すことなく伝えた本作は、日本の青春映画の金字塔とも言えるでしょう。

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